経年による痛みは喜んで修理するが、人為的な犯行による汚損は腹が立つことこの上ない。
本は切り抜かれると基本的には修理のしようがない。
同じものを他の図書館から借りだしコピーして修復することもできるが、それは本の重要度との兼ね合いで処理が決められる。
私はそこまでの修理を求められたことがない。ということは図書館で『欠落がある』と付箋を付けた上で閲覧に戻すか、廃棄処分になっているわけだ。
また水濡れによる変形もある。飲料等をこぼしたりして本を濡らすと普通に乾燥させても変形してしまう。これも修理に廻って来ないので図書館で修理不可能と判断し廃棄されているのだろうか。
聞くところによると、浴室に持ち込み半身浴読書をするヤカラによる被害があるという。
多量の湿気は本人が望むほど美容に効果が無くても本には大きな影響を与える。浴槽に落とさなくても湿気を吸った本は乾燥すると変形するのだ。
私は温泉につかりながら図書館の本を読んでいる『ヤツ』を見たことがある。
それはさておき、自宅で『湿気変形本』の修理を実験した。モルモットは昭和45年発行の新書『創造思考の技術』
手順としてはまずインフォームドコンセント。
「当時は随分役に立った。感謝している。次の世代の修復のため実験に取り組む。未知の分野ゆえ失敗することもある。その時は成仏しておくれ」
成仏しておくれまで告げると医師ではなく僧侶だ。ならばインフォームドコンセントでは無い。因果を含め、その上で水分を含ませた。
乾燥してこういう状態になった本に再度水分を与え、『手作り手機械』の中の1台でプレス。
(私は3台手作りしたことをそれとなく自慢したいので、こう表記しているが手機械は手作りで無くてもOK)
細かい配慮(一枚ずつ用紙をはさむ等)はいるが基本的には強くプレスしながら乾燥させれば修復できることが分かった。修復後は元通りになった。
変形原因の飲料に色が付いていなければ元に戻せる。