繰り言 (くりごと)

2-281) 比 喩

比喩は使い古された手垢まみれのものを使うと、文章そのものまでが陳腐に感じてしまう。例えば、「りんごのようなホッペをした少女」「バケツの水をひっくり返したような雨」「砂糖のように白い雪」
しかし、優れた比喩は読む人の理解を助ける役割を果たす。

思いついた時、チョッと自慢だった比喩がある。
千曲川は、山梨との県境川上村・金峰山の源流から長野県を縦断し新潟へ流れていく。そして新潟では信濃川と名を変える。河川の名は源流の地名を採ることが多いのは承知しているがそれにしても、信濃川?千曲川のままではだめなのか。
これでは韓国から国境を越え流れ込むキムチ川を北朝鮮が韓国川と名を変えるようなものではないか。

今読むと、完全に独りよがりなのだけど、一応信濃川を地図で確認してもらおう。
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北朝鮮が出てくる意外性もあって面白い上、分かりやすくなった。我ながらうまく例えたとその時は思ったのだけどなー。

赤瀬川源平氏創作の比喩に「俺のウニに泥を塗る」というのがある。
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その文を読んだ藤森照信はイカって
「比喩というのは物事をわかりやすくするために用いるが、このウニ泥はむしろ意味を分かりにくくしている。こういうのを比喩といえるのか」
といったそうだ。もちろん仲間内のやり取りだから、大笑いの末の発言だろう。

「俺のウニに泥を塗る」が喩えていること?
万人向けでない分かりにくい比喩の例で挙げたのだから、解説しても分かりにくいので解説しないまま話を終わるが「キムチ川韓国川」より「ウニ泥」のほうがやっぱり面白いと思う。

ついでに書くのがもったいないが、赤瀬川源平氏にはこんな表現もある。
「ミルクをブラックで飲む、すなわちブラックミルクである」そして
「この表現をおこなったとき、意味もなく白子海苔が頭に浮かんだ」

白い黒と黒い白。いつもながら氏の作品は、よく分からなくても面白い。
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by ikuohasegawa | 2010-09-10 07:15 | 繰り言 (くりごと) | Comments(0)

十や十五連休なんて目ではない。三百六十五連休が始まった私。


by ikuohasegawa