これは、表紙でくるむ前の書籍の中身ができた時に、すべての折りがそろっているか、順番どおりに製本されているかなど、製本工程での不都合がないかを確認する為に印刷しておくものだそうで、背丁というらしい。
分かりやすい図を見つけた。
【背丁】
製本工程で、乱丁や落丁を防ぐために、各折り丁の背の部分に刷り込んだ記号。書名と折丁の順序を示す番号が印刷されている。また一般的には、背丁と一緒に●■などの記号も刷り込まれている。これは「背標」とよばれるもので、折の並べ方が正しければ、●■などの記号がちょうど階段状に並ぶようになっている。
さらにこの本は表紙が珍しい。丸背の上製本なのに、表、背、裏を連続した一枚のボール紙で作っている。辞書などはこうした製本をするが一般書ではあまり見ない。
主題の辞書に合わせて、辞書スタイルの製本を選んだ三浦しをん氏の〝舟を編む〟は、この製本だった。
図解すると
想像するに、この本の場合は、薄手の表紙に仕上げたいが1mm厚のボール紙で溝を作っても、溝にならないので連続させたということではないかと思う。
過日、M岡さんが「表紙のボール紙は薄手(1.6mm)にすると感じが良い」と説いておられたが、まさに薄手のボール紙なので、仕上がりが上品というか優しい感じがする。
そう言えば、修理しているこの本は、女性誌に連載された福田恒存氏の幸福論の出版である。女性・幸福論をキーワードに考えると、上品な優しい仕上がりの薄手の表紙というのは納得できる。