職人は板を接着していたのだが、本をプレスしているように見えた。
クランプが固定されている。閃いた。
忘れてはいけないので急いでメモして、後でポンチ絵を描いた。
簡易プレス機が形になると誰かに見せたくてしょうがない。誰かと言っても家にいるのはChiしかいないけど。
「チョッとポンチ絵見てくれる」
「ポンチ絵?」
本題を自慢する前にポンチ絵で引っかかってしまった。
ポンチ絵とは、製図のような定規を使って書く正確なものではなく、フリーハンドでざっと描いた絵のこと。
どんなことが閃いても、カタチにしないと他人には伝わらない。
当人にとっても描いているうちに欠陥や無理が明確になることもあるし、アイデアが進化することもある。とにかく絵にしてイメージを固めることが肝要である。そもそも『ポンチ絵』には、美しいことや正確であることは期待されていないのでざっと描けばよい。
しかし、この「ポンチ絵」という言葉は、なんとも間抜けな響きだ。素晴らしい?閃きも、それを説明するための図を「ポンチ絵」と称されてしまっては、大したことのないものに聞こえてしまう。
語源を調べてみたが、我が新明解には〝ポンチ〟の項に、「ーーー絵」とあるだけ。
広辞苑
【ポンチ絵】風刺を込めた滑稽な絵。漫画。ポンチ。パンチ。イギリスの風刺漫画雑誌「Punch」から出た語。
大辞泉(WEB)
【ポンチ絵】
1) 風刺や寓意を込めた、こっけいな絵。漫画。2 )概略図。構想図。製図の下書きとして作成するものや、イラストや図を使って概要をまとめた企画書などのこと。
私は風刺をこめて書いた訳ではない。ポンチ絵は概略図、構想図、概要企画書なのだけど、ポンの語感がどうもなー。
そういえば、三宅久之氏はTVタックルで「あの、ポンすけ」とか「ポンつく」と言うし、興奮してくると「イカレポンチ」などという悪口も出る。対象は女性閣僚が多い。私が覚えている方では川口頼子、岡崎トミ子、小宮山洋子厚生大臣などが標的になるが、その語感から大した罵倒には聞こえない。むしろ、笑ってしまう。
いづれにしても、ポンチ絵を形にすべく取り掛かるが、ポンすけ機械にならぬことを願うばかりである。