前座は六番弟子の柳家おじさん。
我太楼は あくび指南← を、そつなくこなす。
天狗裁き← を演じた一番弟子の甚語楼は、久しぶりに聞かせてもらったが、良いねー。
権太楼一門の右太楼や小三冶門下の三三のように若いうちから光る落語家もいれば、年を経て輝く噺家もいる。甚語楼は光ってきた。
権太楼師匠は らくだ←
聞きどころは、気の弱い紙屑屋が無理やり呑まされ、泥酔していくうちに、支配、被支配の関係がいつの間にか逆転していく過程の面白さだ。
後半の願人坊主のくだりはカットされることが多いのに、この日は最後までたっぷりと、55分の大熱演だった。Chiも、このネタは三回目だが願人坊主のくだりは初めて聞いたと喜んでいた。
ところで、「そつなくこなす」というのは「失敗もなく何とか無難に処理した」という意味で、誉め言葉ではない。権太楼師匠の落語に「そつなくこなした」とは決して使わない。
「そつ」というのは「手抜かり」や「落ち度」なのだから、格別上手くもないが大きな失敗もない、という時に使う。つまり、マイナスがないということを言っているのであって、プラスがあると言っているわけではないのである。
我太楼君、ほめられたと勘違いしないように。君はまだ 「そつなし」 レベルだということなのよ。