それでも足りないから、次はひっくり返して鉛筆の逆側も削った。絵筆の軸も尖らせた。それでも足りなくて割り箸まで持ち出して削ったことがある。こういう思い出は皆あると思う。
自作の設計図にしたがうと板に30ミリの穴をあけるドリルが必要になった。ホームセンターでドリルの30ミリを見たが高い。おそらく一度きりの穴あけだから3千円は出せない。
諦めきれずに物色して棚の下の方でホールソーを見つけた。株式会社イトー製。
帯状円形の7枚刃がセットされており25ミリ 32ミリ 38ミリ 45ミリ 51ミリ 57ミリ 63ミリの穴が開けられる。480円は実に安い。
簡単に穴があく。4箇所に38ミリの穴をあけたところで左右の穴を63ミリに変更することを思いついた。63ミリだって簡単に穴があいた。480円は実に安い。
出来上がりをセットしてみると使い勝手が悪い。駄目じゃん。
結局、ボンドで接着してコーキング材を詰めて元に戻した。何やってるんだろうね。
後から思うとアイディアが浮かんだというより、ホールソーを使い足りなくて、もっと穴をあけたいだけだった。だって、簡単に綺麗な穴があくのだから。
時代小説の世界では刀を手に入れた武士が、辻斬りをして切れ味を試したりする。新しいものを手に入れると試したいのは人間の性である。
私は武士でなくて良かった。刀ではなく鉛筆削りやホールソーで本当によかった。