製本&修理:スキル

4-52) 綴じ糸の切れていないノド割れを修理(クータを使う)

モノレールに傘を忘れたことに途中で気付き駅までもどる。
車両と座席位置を伝え、取り置きを頼んで磯子図書館へ修理に行った。

この日修理に来た絵本はノド割れしていた。
詳細にチェックしたところノドは割れているように見えるが緩んでいるだけ。綴じ糸は万全だと確認できたから綴じなおさない。
4-52) 綴じ糸の切れていないノド割れを修理(クータを使う)_d0092767_17022766.jpg
本文の背にボンドを塗り接着することになるが、この割れ目にいきなりボンドを注入・・・・すると失敗する。
空洞が大きいのでボンドの量が多くなり他の部分にしみ出ることが有る。またボンドが少ないと必要個所に行きわたらない。

遠い背表紙を近くするためにクータを使う。本の天地より50~60㎜長いクータを作ります。
4-52) 綴じ糸の切れていないノド割れを修理(クータを使う)_d0092767_17023194.jpg
背ボール部分(割れ目の奥の平らな部分)にボンドを塗る。

クータに竹ヒゴなどをさしいれて背の空洞に挿入する。
クータをさし込んでいく過程でボンドを先に送ってしまわない様注意する。
4-52) 綴じ糸の切れていないノド割れを修理(クータを使う)_d0092767_17023434.jpg
※写真は竹ヒゴではなくコーテイングした針金です。

50~60㎜長くしたクータは先に30㎜くらい出し、こちら側にも30㎜くらい残す。
クータから竹ひごを抜く。

ノド割れの間に見えているクータの面に適量のボンドを塗って、本を閉じしばらく置く。

ノド割れはなおりました。
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飛び出しているクータをカットして終了。
4-52) 綴じ糸の切れていないノド割れを修理(クータを使う)_d0092767_17024293.jpg
クータの背表紙側の接着具合が心配なら、このときクータ(天地両側)の端にボンドを追加しておく。

綴じなおす方が良いのだが、初心者が修理する場合には綴じ糸が万全だと確認できたら、こういう方法で修理することも可能です。


そうそう、帰りに駅で聞いたら傘は今のところ届いていないとさ。

いいさ、どうせ買い換えようと思っていた傘だから。あーあ。







Commented by nicoru1nicoru2 at 2017-03-15 04:50
「あーあ」の内心は、「買い換えるまでもない。とじ糸がしっかりしているから、傘の修理をしたかった」ではないでしょうか。
Commented by ikuohasegawa at 2017-03-15 06:19
古武士ヒロくん
上手い。

いいさ、どうせ買い換えようと思っていた傘だからっていうのは、イソップ物語のブドウにとどかない狐ですね。
Commented by ikemoto04lp at 2017-03-15 07:34
なるほど、この説明はわかりやすい。
Commented by saheizi-inokori at 2017-03-15 09:19
クータの語義語源はなんでしょうか。
Commented by ikuohasegawa at 2017-03-15 09:48
アルチュさん
修理に関心の無い方から分かりやすいと言われると嬉しい。たとえお世辞でも。
Commented by ikuohasegawa at 2017-03-15 09:52
saheiziさん
よく聞いていただきました。
手製本をしていたころの職人用語で、「空袋=クウタイ」の訛りらしいです。
Commented by 広島の郁夫です at 2017-03-15 11:49 x
初心者でも綺麗に接着するには仲立ちを入れれば良いとクータを考えた人はすごいです。田舎の家のモルタルを塗り替えでなくパネルで修理し手間と時間に驚かされました。DIYの番組で活躍する新しい工具のようです。
傘が出てくると良いですね。
Commented by ikuohasegawa at 2017-03-16 07:40
広島の郁夫さん
昔は職人の手による製本でしたから、技法、道具などをいろいろ工夫したのでしょうね。

このページで取り上げていました。
http://ikuo365.exblog.jp/14292602/
Commented by 広島の郁夫です at 2017-03-16 10:53 x
2011年に調べてらしたのですね
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by ikuohasegawa | 2017-03-15 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(9)

十や十五連休なんて目ではない。三百六十五連休が始まった私。


by ikuohasegawa