製本&修理:スキル

4-324) 日本版ペーパーバック・ハヤカワミステリーを修理

ハヤカワポケットミステリーは確か小口天地を黄色く染めていたはずなのに、それさえ見えぬほど激しい紙面の黄変。
海外のペーパーバックを意識した装幀製本とはいえ、劣悪な紙質まで真似たのだろうか。

これでも2006年版である。
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この「真夜中への挨拶」の修理指示書には『ページ外れ P146~P150』とあったが、連続するページを軽く引くだけで次々と外れる。
紙だけでなく製本もペーパーバック並だ。

これはもう、全てのページを単票にばらして無線綴じ(糸綴じをしない)をする以外に手はない。


ノド割れやページ外れの全面的無線綴じ修理をするときは、
5か所に切れ目を入れてタコ糸を渡すより
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14か所に施した方が強度は増す。
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さらに、背を荒らしてボンドを含浸させるともっと強くなる。
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手順としては、荒目のヤスリので背を荒らす。
さらにのこぎりで目引きをする。
糸を渡して接着する。
荒らした背全体にボンドを塗り込み、背固めする。

つづく。




Commented by nicoru1nicoru2 at 2017-12-14 04:53
「つづく」って、ハヤカワならではのどんでん返しがあるのですね。
Commented by ikuohasegawa at 2017-12-14 05:03
古武士ヒロくん
分割してネタを増やしているだけです。
そうか、どんでん返しね。
Commented by ikemoto04lp at 2017-12-14 07:07
なんか、修理しているというより、壊しているように見えますが・・・。
 修理なった本を見るといつも立派な仕上がりなので不思議な感じがしますが、プロセスは破壊工作なんですね。
Commented by ikuohasegawa at 2017-12-14 08:54
サマースノーさん
まさに、大胆に破壊して一から製本することになります。こういう修理が満足感を得られます。続編をお待ちください。
Commented by saheizi-inokori at 2017-12-14 09:44
ハヤカワも地に落ちたか。
Commented by ikuohasegawa at 2017-12-14 15:02
saheiziさん
11年目の厚手のペーパーバックですから、壊れる時はこんなものです。
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by ikuohasegawa | 2017-12-14 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(6)

十や十五連休なんて目ではない。三百六十五連休が始まった私。


by ikuohasegawa