666) 回復時間短縮
2009年 01月 07日
見終わってからもずっと私の中では結構な重さを持って心に残った。
映画はそれでも健気に生きようとするラストシーン。いくらか救われるような場面だが私の中でフィルムは回り続け終わらない。
病の進行を止めるすべは無い。昨日感謝した健気な妻の名すら忘れている。進みゆく明日を思うとたまらない。
かつて、故江國滋氏が
『おい癌め酌みかはさうぜ秋の風』
と辞世の句を詠むまでの六ヶ月間に亘る闘病日記を読んだ時にも、私は長時間混乱した。そんな事まで思い出してしまう。
次いで故城山三郎氏の『そうか、君はもういないのか』までもが頭をよぎる。と、もういけない。
我と我が身に置き換えて鬱々たる気分に陥ってしまう。気が小さいからそれらのことで一杯になってしまう。
とりあえず、健康に感謝して今日を生きる以外すべは無い。と自分に言い聞かせるのに時間がかかる。なるようにしか為らないと割り切りをつけるまでには、さらに二三日かかってしまう。
実はけっこう小心者なのだ。私は。
一緒に見たChiは、その時一緒に感動の涙を浮かべ大きく心を揺すぶられても、しばらくすると回復する。回復が実に早い。
アルツハイマーと癌、妻がいなくなる・・・・。あーあーーと滅入っている私に
「抹茶とバニラとラムレーズンどれにする。私はラムレーズン。ハーゲンダッツ、美味しいよ」 回復力旺盛。
ハーゲンダッツのバニラとそんなChiのお蔭で、私の回復時間は短縮されている。