カテゴリ:言葉( 150 )

4-299)穴と孔

電動ミニドリルをテーマにすると、当然「アナ」に触れることになる。
当初は「1㎜の穴」と書いていたが「孔」という漢字が浮かんでくる。

私の場合、穴からイメージするのは窪み。
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全日本穴掘り大会より

窪みの場合は掘ると書くし、穴をあけると書けば貫通していることは解る。
しかし、貫通している状態・・・特に小さいアナ・・・は孔のような気がするので、
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vicdiy.comより
途中から「孔」に変えた。


新明解で引くと、穴は
①周囲の面よりくぼんだ状態のところ。②物の一方の面から反対側の面まで貫かれた空所。とある。さらに、表記として
①②の一部は「孔」とも書く。

一方、「あな」という読みの項には「孔」は無い。「孔」は「こう」に分類されている。
こう【孔】の語釈は ①突きぬけた穴。「孔穴※・孔版・気孔」②略:孔子
孔穴(コウケツ)「孔」は打ち抜けたあな、「穴」は底のあるあなの意

ということですから電動ミニドリルで貫通した状態は、穴・孔どちらでも可。まあ好みの問題のようです。
ただし、常用漢字表「孔」に訓読みはないので、「孔をあける」は、厳密にいえば「こうをあける」と読まねばならない。

また「アナをあける」のあけるも、平仮名で書けば問題ないのに漢字で書こうとすると「開ける」「明ける」「空ける」で迷う。

新明解の「あく」は
①【開く】ふさがって(閉まって)いた物が除かれて空気や人間の出入りが自由に出来る状態になる。
②【空く】いままでそこを占めていた物(それを使えなくしていた原因)が取り除かれて、自由に使えるようになる。表記として「明く」とも書く。【穴が開く】【年季が明く】【埒が明かない】とある。

穴、孔の場合には【穴が開く】【孔が開く】と表記するようです。








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by ikuohasegawa | 2017-11-20 04:15 | 言葉 | Comments(2)

4-114) 原因と理由は

トルストイの「戦争と平和」が挫折する図書No1と言われる原因?理由?
原因と理由は、どう使い分けるのだろう。

新明解によると
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原因は、「物事や状態」をひき起こすもとになったもの(事柄)。
理由は、「人(時) の行為」を正当化し根拠づけるものやこと。

言い換えると、原因は出来事がなぜ起こったのか、それを引き起こすもととなる事柄。事実関係。
それに対して理由は、自分や他人の行為を説明したり、正当であると判断したことの根拠。人絡み。
例を挙げると、
「電車が遅れた原因は、踏切で発生した事故」と、事実の説明。
「私が今日、遅刻した理由は、電車が遅れたからです」と、遅刻を正当化する根拠づけ。何となく解ってきた。

判決理由〇(馴染む) 判決原因Ⅹ(馴染まぬ)
犯行理由〇 犯行原因Ⅹ
殺す理由〇 殺す原因Ⅹ どうも例えが殺伐としているなあ。

それでは
愛する理由〇 愛する原因Ⅹ

ダイエットする理由〇 太った原因〇
原因と結果〇 理由と結果Ⅹ
何となく解ってきた。

「戦争と平和を半ばで挫折する原因」というと、
「挫折する原因は、登場人物が多岐にわたること。および、その人名表記に変化をつけるトルストイの意図を読みとれないことにある」挫折に至るもととなる事柄をあげる感じ。

「戦争と平和を半ばで挫折する理由」というと、
「私が戦争と平和を挫折した理由は、登場人物が多岐にわたること。および、その人名表記に統一性が無いからです」挫折したことを正当化し根拠づける。ということだろうか。


私は読破したので「戦争と平和を挫折する原因」として、過日、推論を述べた。













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by ikuohasegawa | 2017-05-16 04:15 | 言葉 | Comments(4)

4-91) 浅間山の雪が融ける

早朝の浅間山。

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山腹には雲がたなびき、雪の融けた頂は朝日をあびている。

雪がとける。解ける。溶ける。融ける?

「解ける」は、結ばれていたり、固まっていたり、不明だったりしたものが、ゆるみほぐれた状態になるという意。紐が解ける、謹慎処分が解ける、問題が解けるなどと使う。

「鎔ける」と「熔ける(「鎔ける」の俗字)」は、金属などが熱により液化するという意。熔岩・熔接・熔融などと使う。
訓の場合は「熔ける」を「溶ける」に書き換えるのが一般的な使い方。

「融ける」は、固体が液化した状態で消えるという意。日光で雪が融ける、氷が融けるなどと用いる。
しかし、現行の「常用漢字表」には「融=とける」という訓がないので「解ける」に書き換えたり、仮名書きにするのが普通。

金融、融資、融通などは、「融」のもうひとつの意味である「なめらかに通る」 からの熟語。

「雪が解けた」と書くのが普通だ。と言われても「浅間山の雪が解けた」では違和感を感じる。
偏屈なので「浅間山の雪が融けた」とした。

今思うと、「雪がとけた」の方が字面がやわらかくて春らしい。







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by ikuohasegawa | 2017-04-23 04:15 | 言葉 | Comments(4)

4-67) 「しないずく」のずく

「・・・しないずくで終わった」と書いて、「ずく」が方言のような気がして別の言い回しに替えた。

後刻、新明解を開くと
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「・・・ずくめ」と姉妹関係だな。

「・・・しないずく」は、納得ずく、力ずくと似た用法と理解して良いようだ。
しない+ずく で、しないことを強調したニュアンスだ。聞き慣れないだけで方言ではない。と思う。


信州でTVを見るとき、お世話になる局にSBC(信越放送)がある。
局独自の時間帯に「ずく」を冠した情報番組がある。
そのタイトルが、ずくだせテレビ
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この「ずく」は接尾語ではないし、だせの接頭語でもない。「ずくだせ」は方言だろう。
放送中、アナウンサーも頻繁に「ずくだせ」を使う。見るたび聞くたびに???


wikipediaを検索してみると、
:(長野全県)しばしば共通語による定義ができないとされる名詞。強いて言うならば、億劫がって何かをやりだそうとしない状態を「(あなたは)ずく無しだ」などと形容するが、その逆になにか面倒なことを敢えてするようなときに「ずくを出す」と用いられることもある。あるいは、エネルギー(精神的なものを含む)の積極的な消費を厭わないような性質のこととも言える。
そうだったのか。
「ずくだせテレビ」は、面倒なことを敢えてする、やる気を出しているテレビというタイトルなのだ。
解ったからといってどうということもないが、???から解放されて安心してテレビが見られる。

京都人は「・・・どすえ」なんて言わないそうだから、案外、信州人も日常会話では「ずくだせ」と言っていないかもね。













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by ikuohasegawa | 2017-03-30 04:15 | 言葉 | Comments(6)

4-66) 忖度してやるものか

「忖度」が表舞台に出ている。
事のなりゆき真相の解明は他の方にお任せし、漢語辞典を調べてみたがさほど面白くなかった。

とりあえず「忖」
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忖度以外の熟語は漢語辞典に無い。

ついで「度」

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忖度という言葉は使わないが、日常生活において他人の心をおしはかることはある。
忖度することは特に問題ではない。むしろそれができないとKY(空気が読めない)と批判されることになる。
そうです。忖度することは悪くない。忖度して意向に沿うのもあながち悪はいことではない。

権力が絡む職制上の忖度が問題になるのだ。
「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」と規定されている公務員の義務に反して、一部の者に利益をもたらすように計らってはいけない。

「忖度してくれたか、気が利く愛い奴だ」で済むのは従者か秘書課の下っ端のみ。それ以外はゴマ摺り=自己保身である。
権力者は忖度されるような、してほしいような言動は努めて避けるべきだ。あったとしたら許せぬ。


そういえば、会社勤めをしていたときに、トップの言外の要望(本人に利益を誘導する要望ではない)に気付かないふりを押し通したことがある。全く忖度しない、空気を読まない私でいた。
つまり、先方からすれば何という鈍感、もしくは言うことを聞かない奴。

そんなやり取りが数日続いた後、ナンバー2に呼ばれ「いい加減に聞いてやれよ」だったか「一つくらい聞いてやれよ」と諭された。
それで、私は路線を変更をした。
ナンバー2が経緯を承知しているから、自己保身が担保されると判断した訳よ。

結局、ただ鈍感を装い頑固に振る舞っていただけの、自己保身サラリーマンだったことになる。









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by ikuohasegawa | 2017-03-29 04:15 | 言葉 | Comments(8)

3-985) 冬天の昴 あさのあつこ

弥勒シリーズの五冊目。
今巻も心の闇がテーマ。壊れた女、堕ちていく武士、道を踏み外した商人などが複雑に絡み合う。
今巻は同心木暮信治郎が主役。この人の心の奥も暗く虚ろで危うい。人としてギリギリの淵に踏みとどまっている。
人の死を突き放して向き合う信治郎に遠野屋は己が姿を見る。その遠野屋もまたそんな危うさを秘めているのだ。

そして彼らの側に居る女性の芯の強さもまた魅力的である。今回は遠野屋のおうのが強く優しい姿を見せてくれた。遠野屋を支える人物がまた一人誕生した。
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時代小説の、あさのあつこは漢字熟語を多用する。
連なる漢字が時代を感じさせ、人間の黒くて深い心の闇を一層、際立たせているようにも感じる。

例によって熟語の抜き書き。
漢字ではそう書くかというものも、幾つかある。
える わきまえる:物事の区別や善悪の区別をする。
まなじり:「目 (ま) の後 (しり) 」の意。目じり。
ひび
細くはいった割れ目・裂け目
ほとんどは全く知らない熟語だ。
「冬天の昴」を読んでいるときは、これらの熟語は前後の文脈と熟語に含まれる漢字により、おおよその意味は推測できる。
それでも、きちんと調べた。
これらを、あさのあつこは、どこから、どういう方法で採語したのだろう。

碾茶 ひきちゃ:覆いをして育てた茶樹の若芽を蒸して、もまずに乾燥させた茶。抹茶の原料。碾茶 (てんちゃ)とは別。
世設 せせつ:(私解・世間で言われている説)
細故 こさい:こまかなこと。取るに足りないこと。小事
託言 かいこと:他にかこつけていう言葉。口実。
悪意の親田 おやた:(私解・悪意が生まれる元)
頻闇 しきやみ:まっ暗闇。
面模 めんも:人間の顔をかたどったもの面形」「面打ち」とも呼ばれる。
面輪 おもわ正面から見た顔。顔面。
強梁 きょうりょう:橋や建物を支える横木の梁(はり)の強さを取って強い意。
虎子 こし:虎が大切に子どもを育てるということから、大切にしているもののたとえ。
福祚 ふくしょう:(ふくそ) 幸い。幸福。
円網 えんもう:蜘蛛が自分で出す糸で作った網。俗にいう蜘蛛の巣。
図組 ずぐみ:絵組み。計画。
眼居 まなこい:物を見るときの目のようす。目つき。
察度 さっと:非難。とがめ。
抑損 よくそん:おさえて控えめにすること。慢心をおさえること。
話柄 わへい:話す事柄。話のたね。話題。
こうして抜き出して意味を調べても、私は覚えられないから身につかない。
古今の文献作品を読み漢字熟語の単語帳を作ったとしても、自らの作文時にすんなりと思い出すことが出来ないのは私自身の体験からも明らかである。
あさのあつこは、執筆時、こうした熟語がホイホイホイ浮かんでくるのだろうか。

ちなみに、後半三分の一・・・丁度、同心木暮信治郎が事件の謎を解明していくあたりから、難読?漢字熟語が姿を消す。
やはり、人間の黒くて深い心の闇を、漢字熟語により一層、際立たせるため意図的に使っているのだろう。


戦争と平和は第3巻に入っております。








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by ikuohasegawa | 2017-01-06 04:15 | 言葉 | Comments(6)

3-977) 書きたい気持ちは山々なれど

陸地の中で表面が著しく隆起し、他より高くなった部分のことを山と言う。
とは言うものの、他より高くなっていれば枯葉でも山という。

物事や程度がたくさんあることの喩えでも山を使う。
最近は使わないが「書類の山」とも言っていたし、「言いたいことが山ほどある」とも言う。

「山々」というと
やまやま【山山】(名詞)あの山この山。
用例で「♪伊豆の山~山♪」をあげているのは新明解。
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副詞としては「そうしたくても現実にはそのとおり実現できそうにない事がたくさんある様子」にも使う。
その用例は「書きたいことは山山ある」なら、ネタ不足の折、一つ分けてよ。
書きたい気持ちは山々なれどっていう状況なのよ。

また「実際にはそうはいかないが、この上もなくそうしたい気持ちを抱く様子」にも使う。
こちらの用例を私が作るなら
「山山へ行きたいのは山々だが」
山が四つ。あははー。

「海へ行きたいのは山々だが」
あははー、海なのに山々ね

これを書きたいだけの稿です。

これで終わりという訳にもいかないので、「山々」の「々」は、踊り字の一種だそうです。
踊り字は色々ある。
〃→同じく記号、ノノ点
ヽ→片仮名繰り返し記号、一つ点
ヾ→片仮名繰り返し記号、一つ点(濁点)
々→繰り返し記号、踊り字、重ね字、送り字、同の字点
ゝ→平仮名繰り返し記号、一つ点
「ゝ」の2つ重ね→二の字点
ゞ→平仮名繰り返し記号、一つ点(濁点)
仝→同上記号

横書きでは使えないけれど
「く」の縦長2倍→くの字点
「く」の縦長2倍に濁点→くの字点(濁点)








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by ikuohasegawa | 2016-12-29 04:17 | 言葉 | Comments(6)

3-969)櫛挽道守 木内昇著を読む

木内昇著「櫛挽道守(くしびきちもり)」を読む。
集英社文庫ですから、「しおりホルダー」を使う。良い。

登瀬の母が言う
合巹(ごうきん)の時期も考えねばな。雪が融ける頃がええだがね。奈良井からも来ていただぐのに都合がええだわて」

著者木内昇はその母の言に続けて【正式な祝言のことを古くは合巹といったらしい。】から始まる数行を合巹の解説に費やす。
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「最近では使う者も少なくなったこの名称を母はここぞとばかりに嬉々として用いるのだ」
入婿話を「思いがけず降ってきた僥倖を繋ぎ止めんとする」母松枝の心情が「合巹」に現れている。

木内昇の解説を疑う訳ではないが、漢語新辞典をひいた。
合巹」の用例は無いが「」はあった。

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時代は幕末。
舞台は中山道の宿場町藪原。「お六櫛」と呼ばれる櫛が名産品。
「神業」と呼ばれる腕の良い櫛挽職人吾助の娘の登瀬が主人公。
櫛挽は男の仕事だと反対する母や保守的な村の人々の冷たい視線を浴びても、登瀬は父の技を受け継ぎ櫛挽職人になることを強く望んでいる。
登瀬の櫛挽への熱い想いを感じた吾助もまた、言葉少なではあるが登瀬に自分の技を受け継がせようとする。

そんな登瀬を軸に、妹・喜和の登瀬とは異なる生き方、ひたすら家を守ることに腐心する母が絡み合う。家に暗い影を落とす十二歳で死んだ弟直助。その幼馴染・源次との心の交流。吾助の腕の良い弟子の実幸は登瀬の入婿となるが、登瀬は子をなしても心の隔たりを消せないでいる。

亡き弟直助が書き残した絵草子が、登瀬の櫛挽に対する思いを強くする。
子が出来て、夫である実幸へのわだかまりが少しずつ解消していく。

とまあ、こんな筋ですが、読後感はさわやかで良い。
木内昇の他の作も読みたい。









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by ikuohasegawa | 2016-12-21 04:15 | 言葉 | Comments(4)

3-936) 宴たけなわではございますが

我が団地は、今、紅葉たけなわでございますが
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「たけなわ」を漢字で書くと「酣」もしくは「闌」
【酣】カン ①たけなわ。㋐さかもりの最中 ㋑物事のまっさかり
【闌】ラン ①たけなわ。さかりの時。まっさかり。また、さかりを少し過ぎたころ。

「たけなわ」を使うのはもっぱら披露宴の司会者と宴会の幹事。
「宴もたけなわではございますが」というと、終了するのを惜しむ感じがするから紅葉にも使ってみた。


同じような言い回しに「齢たけなわ」がある。これは「すでに物事が盛りを過ぎた状態」という意味になるそうだ。
「物事が」と言っても、「齢」なのだから年齢、人間のことだ。年齢的に盛りを過ぎれば老いるばかり。

盛りの後には衰退がやってくる。頂に達すれば後は下るのみ。
「酣」と「闌」の境目は紙一重だ。
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来年になると「齢、七十を数える」
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この遊歩道も少し下り坂。

「齢たけなわ」を出したら、なんだか湿っぽい話題になったが気分的にはまだまだ半ば。

さあ、元気を出して、いつものように。
古希(来年)用の句です。 ※saheiziさんのコメントを借用
言うまいと思えど早き古希の夏
下線部を変えるといつでもだれでも作句できます。

また短歌派の人は、下の七七をつけてください。
言うまいと思えど早き古希の夏我泣きぬれて蟹と戯る なんてね。

来夏は海辺へ行かなくちゃ。









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by ikuohasegawa | 2016-11-17 04:15 | 言葉 | Comments(10)

3-932) 小春日和でした 年寄りの冷や水

一昨日は朝のうち雨が降り、最高気温13度という寒い一日だった。
昨12日は秋晴れ。

すれ違ったウオーキングおじさんは半袖姿。チョットやりすぎじゃないの。

色づいた街路樹に朝日があたり、桜もイチョウも輝いている。
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「ハッ クショーン」
さっきすれ違った半袖おじさんだ。ほら、年寄りの冷や水。
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小公園のアメリカフーも色濃くなってきた。
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小春日和の一日でした。





More 「年寄りの冷や水」
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by ikuohasegawa | 2016-11-13 04:15 | 言葉 | Comments(5)