カテゴリ:読書( 71 )

4-113) 翻訳小説は登場人物表が頼り

戦争と平和。読了。

文学としての感想は省略するが、戦争と平和が挫折する図書No1の原因?理由?は私なりに解った。
まず長編であること・・・私は苦痛ではなく楽しみが続くのが嬉しかったけれど。

解りづらくなるのは
①複数の場面が行き交うこと。戦場とロシア国内各地、各貴族家など。

②慣れないロシアネーム。

③ファーストネーム、ミドルネーム、ラストネーム、加えて爵位名のみで表記することがある。

これに似たような例は日本の小説にもある。
今読んでいる会津藩家老・田中玄宰を主人公にした中村彰彦の作品「花ならば花咲かん」の一節には
「本日、元服をいたしました田中小三郎は通称を加兵衛、諱を玄堅と定めますので、皆様にはどうかよろしくお願いいたしたく存ずる」とあった。※通称(トオリナ)・諱(イミナ) : 実名にあたる諱をもって自他を呼称することを避ける風習があった。そのため普段、人を呼ぶときは通称を用いた。

元服したので幼名(小三郎)を加兵衛に改める。
さらに元服したので諱≒本名を定めるということだろう。その諱≒本名でさえも都合によって変えることがある。

加えて大名の場合は、官位(少将、中将、中納言、参議など)、領地には関係のない官職(伊豆守、和泉守、美濃守、筑前守、肥後守など)で表記されることもある。

「皆様にはどうかよろしくお願いいたしたく存ずる」と言われても覚えきらぬ。

④加えてロシア貴族は、それをフランス語読みする場合があり、トルストイも唐突に使う。

⑤登場人物表が無い(新潮文庫版)

要するに、これは誰のこっちゃ、という混乱だ。


名前をめぐる混乱は普通の翻訳小説でも起きる。
読み始めてしばらくの間は「登場人物表」に戻って確認することが多い。
これは彼の上司ね、とか、こいつは弁護士か、という按配。

あまりに頻繁に「登場人物表」に戻るので翻訳小説用にシオリひもを追加し二本にした。
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オレンジ色の方は本文読みかけページ用。
黄色い方は「登場人物表」のページ用。

市販のブックカバーで栞ひもが2本ついているものがあるが、このためだったのだろうか。

ちなみに、新潮文庫版の戦争と平和には「登場人物表」が無いので、これから読もうという方には「登場人物表」と年表がついている岩波文庫版をお薦めします。これは梟通信からの情報。










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by ikuohasegawa | 2017-05-15 04:15 | 読書 | Comments(8)

3-951)改行改行で冗長な文章

赤瀬川原平の「学術小説 外骨という人がいた!」(ちくま文庫)を読んでいて、電車を二駅乗り越してしまった。
それでも悔やまなかった。だって、面白いんだもの。

スコブル第三号で外骨は▲文章の冗長を怒っている。
紙面の下三分の二は、外骨がやり玉に挙げた冗長文章のサンプル。
本来なら真っ白な空白。そこも利用して、囲みで怒りのもとを解説している。
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これは原稿料稼ぎのための「ヘタ長い文章」だと外骨は怒っている。
さらにサンプルの会話文の中で、こういう雑誌を『今月の新紙屑』とまで比喩している。

「あなた見て」
「何をですか」
今月の新紙屑をサ」
「見ましたヨ」
「可愛いでせう」
「何がサ」
・・・・・

私も同一の怒りを覚え、ネタにした記憶がある。
探すのに手間取ったが2007年8月の拙稿 211) 改行ばっかり がそれだ。
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少し偏った好悪基準と、それを書きたい性向の同一性が明らかになった。
これで、先日「宮武外骨と同時代に生きたら友達になれそうな気がする」と書いたことは、決してオーバーでなかったことが証明された。
よしよし。








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by ikuohasegawa | 2016-12-02 04:15 | 読書 | Comments(3)

3-941)「先生「荒木先生「ねえ聞いて「園長先生、怖「若菜ちゃんには無理「・・・ 」

合間の軽い読書。
荻原浩著 ひまわり事件。

例によって文中の一節に目がとまった。
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会話の中に他の人の会話を入れる時には、カギカッコの中に二重カギカッコを入れて「 『 』 」という使い方をする。

萩原浩は園児が一斉に喋る場面で「 「 「 「 」という使い方をしている。
カギカッコの中にカギカッコを入れているが、閉じる は最後のみ。
「先生「荒木先生「ねえ聞いて「園長先生、怖「若菜ちゃんには無理。綾ちゃんが「・・・ 」

口々に言い立てる感じが視覚的にもよく伝わってくる。

編集者は著者萩原浩に確認をしただろうな。
「念のためにお伺いしますが・・・」


そうそう、本の方は
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文春HPの紹介文。
老人ホーム「ひまわり苑」と「ひまわり幼稚園」はお隣同士。妻を亡くし「苑」に入居した益子誠次は子供嫌いだったが、物の道理を教えるためあえて幼稚園児と一緒にひまわりの種を植えた。
経営が同じ「苑」と「園」には実はさまざまな不正の疑いがあるが、老人と子供たちは非力ゆえになかなか糾(ただ)すことができない。
しかしある日、訳ありの「苑」の入居者・片岡さんがとうとう決起、誠次と子供たちと一緒にバリケード封鎖を敢行する。老人と子供が手を組んだとき、奇跡は起こるのか? すべての世代に送る「熱血幼老小説」です!
合間に読むには手ごろな、面白い一冊でした。









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by ikuohasegawa | 2016-11-22 04:15 | 読書 | Comments(4)

3-937) 並四小学校本の修理

5時20分に迎えが来ます。ゴルフです。

さて、16日は並四小学校本の修理日でした。
本の救急箱には、児童の見つけた修理本が十数冊。
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順に確認していくが、修理箇所を見つけることができない一冊があった。
数回見かえして見当を付けたのが、ここ。
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裏表紙の見返しに白く剝がれた個所が有る。
大人の修理人は破損に目が行って「何かを剥がしたのでしょう」と見過ごしてしまう。
子供ならではの修理箇所。

見返し(遊び紙)を取り換えるという方法もあるが、このサイズの用紙は無い。
色を塗っても、きれいに仕上げる自信はない。「汚いから修理して」と戻って来てしまう。

思いついてデザイン用紙を貼った。
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大判の貼り紙はプレスしながら乾燥しないと波打ちます。


デザイン用紙といっても、在庫している本のカバーから選んだだけ。
雰囲気の良いカバーを見つけたのが手柄。

他の本は通常通り修理した。
また、傷んだ本を見つけてくださいね。


More在庫の本のカバー
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by ikuohasegawa | 2016-11-18 04:15 | 読書 | Comments(5)

3-927) 戦争と平和 余談

二週間ほどゆっくりしてきたので、昨日から再び忙しくなった。

午前中、図書館にて本日の修理講座の準備にあたった。
説明にとどめる「のこぎりタコ糸綴じ」の、説明用工程途中を作った
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他に、平綴じ用の針と糸の準備を済ませた。
講座には忘れず太い針20本を持参すること。

夜は「仲良し会」に出席。こちらは飲み会なのだけれど、何かと気ぜわしい。


さて、戦争と平和。
ロシア軍はオーストリア帝国に進駐した。

途中の一節が、目にとまる。

彼女が出ていこうとすると、彼は目顔でひきとめて、高い書卓の上からまだページの切られていない新しい本を一冊とりあげた。

そうそう、かつて本は袋綴じ(小口が折り山=アンカット) のまま発刊されていた。その折り山を切り開くのにペーパーナイフが使われたのだ。
Wikipediaのペーパーナイフにも次のように記載されている。

(略)15世紀頃にヨーロッパで活版印刷術が発明されてさまざまな印刷物が販売されるようになったが、新聞や書籍は裁断・表装されずに販売されており、購入者が自分で行う作業であった。その際にペーパーナイフは必需品であり、19世紀頃までは文字を読むことは貴族・富裕層など特権階級が行えることであったため、ステータスシンボルの一つとして上記のように豪華な装飾が施されたものが存在する。

我が家にもペーパーナイフはあるが、何故、有るのかも定かでないし、今はほとんど使わない 。
封書は切手を切りとる都合もあるのでハサミを用いるのがもっぱらである。使用済み切手は幾ばくかのボランティア活動になるから。

少しは慎みのあった時代の週刊紙のグラビアは袋綴じを使っていた。そこを切り開くときにはドキドキ感もあり期待も大きかったが、大抵の場合、裏切られることが多かった。若かったから、その種の期待は大きかったのよ。

それはさておき、ペーパーナイフを手元に置き読書するのは「貴族・富裕層など特権階級が行えることであった」 のだ。

フランス装と呼ばれる製本方法は、今でこそ、詩集や女性のエッセイ集などに用いられる洒落た製本(袋綴じは採用していない)だが、元々は往時のフランスで流通していた本の簡易製本だったのだ。
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製本のひきだし より

特権階級は、そのフランス装の本を美麗に装丁させ蔵書とした。
天地小口をカットし、革製の表紙をつけ、タイトル装飾を箔押しで凝らし、こんな感じに仕上げたのだ。
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古書・アンティーク Archangel より

などということを思い浮かべながら新潮文庫の戦争と平和を読んでおります。

まだまだ、ピエールことピョートル・キリーロヴィチ・ベズウーホフ伯爵の出番は少ないが、面白くなりそうな予感はする。

そうか、戦争と平和にはナポレオンも登場するんだねえ。








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by ikuohasegawa | 2016-11-08 04:15 | 読書 | Comments(6)

3-913) 戦争と平和

マイクル・コナリーのボッシュシリーズ最新作の文庫版が出た。
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アマゾンの紹介によると
定年を迎えたボッシュも再雇用でロス市警未解決事件班に務めている。担当するのは、迷宮入りとなっている殺人事件の被害者から出てきた当時8歳の子供の血液。この凶悪事件の犯人が8歳児?ということで捜査に乗り出したボッシュ。そこへ、彼とロス市警にとっての仇敵元副本部長のアーヴィン・アーヴィングの息子の転落死事件が起き、アービング自らの指名で二つの事件を担当することになる。ボッシュが年老いてきたことを意識したのか、アクションを抑えてその分推理をさせ、作品の深みは増した感がある。
さらに、アマゾンでは、プライムビデオで映像化されたボッシュを見ることができる。
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最新作を読みたいし、ビデオも見たいがここは少し辛抱して、トルストイ「戦争と平和」
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WWikiより


会話文の「〈 〉」に対する答えが見つかった。

まず、岩波版を先行読書中のsaheiziさんからコメントをいただきました。
藤沼貴訳にはそういうところはなかったように思います。ロシア貴族の会話はフランス語が主体で、とくにロシア語を使ったときのみ、そのように本文で断りが入りました(逆もあり)。≪≫は、内心の考えをあらわすときに使っています。

続いて、GlobalVoices 今日に受け継がれるトルストイ「戦争と平和」より 
【トルストイの小説中のフランス語】
1812年、ナポレオン軍が侵攻した頃、ロシア貴族の言語としてフランス語が事実上使用されていた。トルストイは、冒頭部分を含め「戦争と平和」をフランス語で書くことで、上流階級のフランス語との関わりを強調している。
〈中略〉
dohlik_nemruchiは、トルストイは物語の進行を示すためにフランス語を使用していると返答している。つまり、「戦争と平和」の冒頭はロシア語とフランス語の両方で書かれたものであり、その中で小説のプロットが進行し反仏感情が増長していくにつれて、フランス語は薄れて行ってしまったのである。

もっぱらロシア語混じりのフランス語だったロシア貴族の会話を、トルストイはフランス語とロシア語を使って作品にした。
それを表現しようと工藤精一郎は、ロシア語部分を〈〉で括った。
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フランス語部分を〈〉で括った部分もある。
藤沼貴訳のように断りを入れてくれればいいのに。
言語が明確に解ったからといって、どうということは無いが・・・。

さあ、191ページから続きを読むぞ。
この先、私もピエールの父キーリル・ウラジーミロヴィチ・ベズウーホフ伯爵の臨終の場に立ち会うことになる。
莫大な遺産相続の話題が出はじめた。









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by ikuohasegawa | 2016-10-25 04:15 | 読書 | Comments(8)

3-906) トルストイ(新潮社版) 戦争と平和の「< >」

戦争と平和を50ページほど。

好みはあろうが工藤精一郎の訳(新潮社版)は平易。読みやすいように思う。
ところが、一行目、文頭ので突っかかりを残したまま読み進んでいる。

突っかかったのは、会話の箇所を囲む括弧「 」の中にある< >。
この< >は、なんだろう。

「<ねえ、いかがでございます、公爵。・・・よろしゅうございますわね>。・・・・
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加えて、< >の中に( )も使っている。
この( )部分は、会話にありがちな錯綜する追加発言を、書き起こし風に、工藤精一郎が工夫したのだろう。おそらくトルストイではないだろう。と推測し納得できる。


「『 』」なら『 』内は、会話文の中で他の人が喋った言葉を表すが、「< >」の〈  〉内は、どう理解すればよいのだろう。「 」内の全文を< >に入れた箇所もあるし、「 」内の一部を< >で括っている個所もある。

強調だろうか。

強調にしては、沈んだそっけない場面もある。
「<・・・>」彼女は沈んだそっけない口調でこう言っただけであった。
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ロシア貴族だからフランス語を交えて話すのかもしれない。< >はフランス語。

第四巻巻末の訳者解説をのぞいてみたが、括弧には言及していない。
トルストイの原作に「< >」は無いだろうし、岩波版は普通に「 」なのだろう。
図書館で岩波版を確かめようとしたが、一巻は貸出中。他の巻は持参しなかったので「< >」部分を比較できなかった。
翻訳者工藤精一郎の意図は、なへんにありや。新潮社編集部はどう納得したのだ。

これまでに新潮社版・戦争と平和をよんだ読者は、どう自分を納得させたのだろうか。
「< >」を気にするのは、ひょっとして、私だけかなあ。

と、まあ、括弧問題は依然として疑問のままであるが、フランス語での発声ということにして読み進める。
まだまだ、ムッシュピエールは数回登場しただけの前説部分です。

と書いて、ページを繰っていると359ページに 〈  〉内がロシア語と思わせる会話がある。
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ロシア貴族の日常会話はフランス語だったのかもしれない。

いずれにしても「 」内の < > は、仏語、露語の区分け記号として用いているようだ。








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by ikuohasegawa | 2016-10-18 04:15 | 読書 | Comments(9)

3-903) トルストイに挑む

戦争と平和が四巻そろった。
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saheiziさんのブログでアドバイスをもらった・・・岩波版には相関図が付いている・・・が、入手したのは新潮文庫なので相関図をwebで探して用意した。
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年譜は第四巻の巻末にあったものをコピーし、Wikiの人物紹介もコピーした。準備完了。

大きな文字の㈠㈣はともかく、㈡㈢は文字が小さいく読みづらい。という問題はあるが、トルストイに挑む。
これぞ、読書の秋に相応しい。

一挙にというのは無理としても読み終えたい。










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by ikuohasegawa | 2016-10-15 04:15 | 読書 | Comments(4)

3-884) トルストイ「戦争と平和」を揃える

読んだか読んでいないか覚えていない。
という言い方は見栄である。

たぶん読んでいない。
まだ、見栄を張っている。

読んでいません。
トルストイ「戦争と平和」
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saheiziさんの梟通信で触発されAmazonに発注。中古の新潮文庫4巻で約1300円也。
世界の古典を読む気になった。嬉しい。
しかもそれが1300円で読めるのは実にありがたい。

(2)(3)(4)が届いて(1)を待っている。

中古本なので文句は言えないが、残念なのは版が入り交じっており旧版は字が小さい。
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右は読みにくい平成4年の30版。左は平成25年の43版。

紙が焼けているのはしょうがないが、ちょっとミスしたかなあ。
まあ、家には電気スタンドも天眼鏡もあるけれど・・・。
手離せなくなってLED懐中電灯と天眼鏡を電車に持ち込むほどになったら、ちょっと厄介。


結局、(2)(3)(4)は本棚で、出発に間に合わなかった(1)は郵便受けの中で私の帰宅を待っている。ことだろう。











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by ikuohasegawa | 2016-09-27 04:15 | 読書 | Comments(6)

3-680) 日本精神史 上巻が遅れている

上下巻をアマゾンに注文した長谷川宏著「日本精神史」。下巻はその日、2月16日に届いた。

上巻は【3月5日から3月18日の間に到着予定】というから、ずーっと待っている。
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毎日のように、この画面を出して眺めている。変化ないなあ。


3月6日になったら案内が変わった。【3月18日までにお届け予定
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おー嬉しい。 動きがあった。 いよいよだ。グリーンの状況ベルトが伸びている。

まてよ、
5日から18日」の到着期間に入ったから最も遅い18日を期限に書き直しただけで、実質な変わりはないじゃないか。

それでも放置されているのではないことが確認できたのでいいや。

上巻到着が楽しみだ。









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by ikuohasegawa | 2016-03-07 05:00 | 読書 | Comments(6)