カテゴリ:製本&修理:スキル( 152 )

4-234) 並四小本の修理 折シワの付いた本

並四小本の修理日。
「これどうしたらいいですか」とアドバイスを求められたのは、折りシワ。

d0092767_05494784.jpg
軽く水を含ませた・・・いつもはウエットティッシュくらいと言ういますが、この本は厚手のコート紙でなのでもう少し多目・・・ティッシュでシワの辺りに水分を与えます

つづいて、白紙を1ページごとに挟みます。
d0092767_05501885.jpg
余分の水分を吸収するためですが、本文への色移りを避けるため白紙を使います。
特にPCプリンターのヤレ紙はインクが水に溶けるので使ってはいけません。

この日は、シワの寄った除け者の模造紙を切って有効活用。
このままプレスした状態で乾かします。

3時間くらいで確認してもらうと、いい具合に折りシワが消えていました。
d0092767_05495207.jpg
完全に乾燥し切っていないので、新たな模造紙を挟み込んでプレスを続けます。
水を含んだ本にした訳ですから、時々、紙を交換しプレスしながら乾燥させます。

水分を吸収した白紙は乾燥させれば使えますが、綺麗な白紙をモッタイナイと思うような本なら、修理はしません。


関連して、折り込みページや飛び出す絵本も妙な折ジワが付くことが多い。

折り込みページのある「きょうりゅうのおおきさ」チャイルド社
d0092767_07475583.jpg

飛び出す絵本の「パパお月さまとって」偕成社 
d0092767_05381434.jpg

修理の手順を説明する前に作者、出版社に一言。
折り込むページは本文よりほんの少し小さめにするのが宜しい。
飛び出すページは、作者、出版社の思いもあろうが気をてらったアッと驚くような仕組みは避けたほうが宜しい。

大人でも、考えないと折り込めないような仕組みは、不特定多数の児童が繰り返し読む学校図書館の児童書として不適切だ。
意図を無視して畳み込んである絵本は幾冊もあるもの。

修復の手順は、まず水分を与え白紙を挟みプレスをしながら乾燥させる。時々、白紙を変えプレスし続けます。

場合によってはヨレヨレの小口や折り筋以外の箇所を薄手のブッカーで補強します。
※本文にブッカーを使うことは好ましくありませんが、ヨレヨレのページをしっかりするためのやむを得ぬ処置です。

場合によっては児童のつけた折すじを採用する場合もあります。
「パパお月さまとって」の場合はこんな按配です。
d0092767_06021028.jpg
作者の意図とは違いますが、児童の手によって合理的な折り方に修正?されていますからそれを尊重します。
近道できる「けもの道」が定着するようなものですね。









[PR]
by ikuohasegawa | 2017-09-16 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(4)

4-232)機関車トーマス・ミニ絵本の修理

八月いっぱい夏休みをとったので一月半ぶりの磯子図書館本の修理に参加。

幾冊かを修理して、修理本のラックに行くと汽車の絵本(機関車トーマスのミニ11.5×15cm)シリーズ三冊が目に入った。
「お前たち、また来たの」
d0092767_04374268.jpg
子供に人気がありシリーズ全部で26巻あるが入れ替わり立ち代わり修理に回ってくる。
d0092767_04401236.jpg
ポプラ社HPより


再々修理もしばしばあって、修理者の間では評判の絵本である。
構造的にいうと見返し用紙を省き、綴じた本文の最初と最後の折り丁の一枚を見返している巻もある。

d0092767_04593004.jpg
綴じ糸の切れ、本文ノドの裂けも多い。
図書館員に言わせると「それほど貸出しが多い本ではないのに、どういう訳でしょうねえ」
サイズが小さい絵本なので子供の扱いが雑になるのだろう。本文をつかんで振り回したり、ぶん投げたりしてるんじゃないかな。

いずれにしても修理するのだが3冊を手にして、ひねくり回し、しばし黙考。
本文の綴じ穴ラインで裂けたり断裂した個所はテープ類で修理を繰り返している。
綴じなおすべき綴じ糸の緩みをボンドで固めたり・・・何度かの幾人もの手になる修理だからだろうがグダグダ状態のものもある。

結果、上の図の辺りで見返しを切って本文を取りだし平綴じをすることにした。
平綴じをすると見返しの絵の上に綴じ糸が出るが、
d0092767_06010426.jpg
再修理を繰り返してグダグダから修理不能にするより良い。
さらに本文と表紙の接着をより強固にする。と決断した。
二度と再修理に来させない。

ときにはチャレンジも必要だ。

この日は、決意を固めたところでタイムアップ。








[PR]
by ikuohasegawa | 2017-09-14 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(4)

4-180) 夏休みの前に横浜工場名鑑の修理(2)

家にこもって本を読むことが多くなる時期を避け、梅雨があけたら信州に行くつもりでいた。
そのもくろみが外れ、空梅雨で猛暑の日々が続いたが当初の日程に合わせて用を当て込んでしまったから急な変更は出来ない。

あれこれやりくりをして残ったのが、仕掛り中の修理本・横浜工場名鑑。
7月27日と8月中の修理を休むから、横浜工場名鑑は仕掛り中のまま一ヶ月以上放置することになってしまう。
心置きなく夏休みを取るために図書館に出向き修理した。

傷んだ背を切り取り、薄手の厚紙に貼って作りなおした新背表紙を貼り戻す。
d0092767_18135014.jpg
こんなふうに出来ました。
d0092767_18134734.jpg
本文は外れたページを貼り戻し、十字にずれ止めの帯を掛け綴じ穴をあける。
ここで失敗。
ドリルを折った。
d0092767_18134465.jpg
「ドリルを捻るとドリルの刃が折れる」と口を酸っぱくして言っていたのに・・・。
厚さが40㎜もあったから、こういうこともあるさ。と、気を取り直してφ2.5㎜(いつもはφ2.0㎜)のドリルに交換して穴をあけ平綴じをした。

表紙と合体して修理完了しました。
d0092767_18134182.jpg
この本は厚くて自重があるので糸は製本用糸(太目)を二本取り、ドリルの刃はφ2.5㎜でいつもより太い。
しかし、仕上がってしまうと少しの違和感も不都合もない。

ひょっとしたら「極力小さい穴で、極力細い糸で」というのは手作り製本からくる思い込みかもしれない。

折り丁を綴じる場合と異なり平綴じの綴じ糸は見えない部分だから、穴も糸もは多少太くても問題はない。むしろ少し太めの方が強度的に安心できる。
平綴じは「折れないドリルで、切れない糸で」というのが正しいと思う。

さあこれで、心おきなく夏休みがとれます。









[PR]
by ikuohasegawa | 2017-07-22 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(7)

4-176) 無線綴じの大冊を修理する(1)

磯子図書館本の修理。
手掛けたのは横浜市工場名鑑(平成3年版) 。修理指示書にはページの抜け&ノド割れとある。
d0092767_18183446.jpg
詳しくみると過去に何度かノド割れを修理してあった。無線綴じの本がノド割れすると始末が悪い 。
※ 無線綴じとは折丁の背を接着剤で固め表紙を貼り付ける製本。無線の名は製本の際に線(糸や針金)を使用しない事による。
無線綴じの大冊は自身の重さも加わってノド割れすることが多いのです。
その修理で使ったボンドは足し増しで固化している。
d0092767_18183120.jpg
私の見立ては、ばらして平綴じする。分解中に背のタイトルが破損したら作りなおす。


本文を外すと、かつてノド割れを補修したボンドが背まで達していて、中心線上に線状の塊がある。何度もボンドを足しているからなあ。
d0092767_18183855.jpg
それを剥がすと背タイトルはひどい状態になった。これは想定内です。
d0092767_18184159.jpg
ページの抜けを貼り戻し天地に帯を掛けたところでタイムアップ。


背タイトルはワードで準備完了。
d0092767_06055963.jpg





[PR]
by ikuohasegawa | 2017-07-18 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(2)

4-172) 神奈川県百科事典の修理(2)

磯子図書館の本の修理。
ヤマモモジュースの話を先に報告したかったので、こちらを後回しにしました。

7月11日は図書館隣のビルの日陰で立ち止まるほど暑い日でした。12日も13日も暑いです。
d0092767_04410871.jpg

猛暑の中13名の参加あり35冊を修理できました。ありがたいことです。

神奈川県百科事典の続きに取りかかる。
まずは折り込み図版の欠落個所を補う。
d0092767_18182214.jpg
破れの横に乗せているのは補修用の別紙。

裏面が白紙だった鎌倉まつりチラシの黒い部分を切り取りました。
d0092767_18181535.jpg
裏から貼り合わせました。
d0092767_18182677.jpg
白く目立っていた黒い部分の折りシワに彩色。シワを隠したから若返りましたね。

なお、過去の修理で和紙テープを使用してあった。
文字は読めるが、黒い個所なのでテープが目立ちすぎる。これは裏面から貼るべきだったね。

次いで表紙。
d0092767_18005494.jpg
前回の修理でブッカーをはがしたとき、ラベル類も一緒にはがれてしまった。
d0092767_04322751.jpg
新ラベルを貼ってブッカーをかけた。
d0092767_18302166.jpg
光線の具合で色目が異なっています


大冊の割に簡単な修理だったのは、平綴じという堅牢な製本だったからです。









[PR]
by ikuohasegawa | 2017-07-14 04:13 | 製本&修理:スキル | Comments(7)

4-159)シオリひもを足す

磯子図書館の本の修理。
修理本が足りなさそうなので書架へ行き村上春樹の著書をチェック。
例によって見返しの緩んだ本とシオリヒモの切れた本を10冊修理本に加えた。

修理を始めたら近くの席で修理している方が「短くなったシオリヒモに足してある。このままでいいですか」と問いかけてきた。
違和感のない足しかただったのでそのままでOK。

実は、私もこのところシオリヒモを全て交換するのではなく、足す修理もしていました。
短くなって用を果たせなくなったシオリヒモのうち、根元がすり減って切れそうなものは交換し、寸が足らないだけのものは極力同色のシオリヒモで補います。
d0092767_18004355.jpg
糊代を10~20㎜くらいとって、ボンドで接着しております。
難しくはないが、注意事項。完全に乾くまで挟み込んではいけない。
d0092767_18004762.jpg
シオリヒモを外に出したまま修理済みラックに置くのが良い。

当然、交換のため取り外したシオリヒモは捨てません。

増え続けるシオリヒモの消費量が気になって始めたのです。

なおすほど増大する材料費が気にかかっていたのです。
修理に理解がある磯子図書館は別にして、在る材料の範囲で修理するという話も耳にしていますから。










[PR]
by ikuohasegawa | 2017-07-01 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(4)

4-80) 広辞苑を修理する(webレッスン)

≪広辞苑の寒冷紗が切れた遠方の友人に≫

見返しも切れているはずだから、まず見返しを処置します。
①見返しの表紙ウラ側の30mmくらいのラインに切り線をいれ、見返しを破らないように剥がします。
 表紙の厚紙は隠れるので多少傷ついても構いません。
d0092767_16173352.jpg
②見返しの修復
 まず、切り取った見返しを本文側にのせ断裂ラインと天地のラインを合わせて
d0092767_05334444.jpg
 裏からセロテープ(1~2㎝くらいで3~4か所)で仮留めします。
 続いて、仮留めした見返しをそっと開き、表側(写真で言えば紫色の面)から布テープで補強。
 仮留めのセロテープを取り除きます。

③寒冷紗を貼ります。
 寒冷紗の寸法:天地方向は本文より天地各5mm短く。幅は寒冷紗の幅のままでOK。
 貼る位置は切り出した見返しからはみ出ない位置。本文の背の厚みいっぱいにはなりません。
d0092767_05194243.png
 力の掛かる個所ですから、寒冷紗に塗るボンドの量は多目。
【背に貼る部分は、ボンドの白い色が残り下が透けて見えない程度】
 押さえて寒冷紗のフチからはみ出てきたボンドはふき取ります。
 一旦、乾燥させます。

④見返しのカットラインを合わせて貼り戻します。
 ボンドは図の緑の部分に塗ります。背になるところには塗りません。
 見返しのカットラインや周辺部のボンドの量は③のボンドより若干少なめ。

 図のように表紙を平らに置き、本文側を縦に起こしカットラインを合わせます。
d0092767_04564748.png
 接着面を押さえカットラインがズレていないことを確認。はみ出したボンドは拭き取る。
 
⑤クリアファイルを挟み(はみ出すボンドで見返しを貼らないように)表紙を閉じます。
 接着した側を上にして平らに置きます。

 定規をあてて押し、溝の中を圧着。
d0092767_06265895.jpg
 天地を確認してボンドがはみ出していれば拭き取る。
 接着した側を下にして平らに置き、自重のほか重しをかけて乾燥させる。

※乾燥後、カットラインが気になれば布テープを貼ることもある。

初めての人に説明するのは難しいことを再認識していますが、こんなもので、どうでしょうか。

JP便を待って開始してください。健闘を祈ります。
 







[PR]
by ikuohasegawa | 2017-04-12 04:19 | 製本&修理:スキル | Comments(3)

4-69) 一丁中綴じ絵本の修理

今日は甥っ子が新妻を連れて挨拶に来る。
目覚めたときから落ち着かない。

さて、一丁中綴じの写真絵本を開いてみると、本文と一緒に綴じてあった見返しが裂けて本文が脱落している。加えて一番外側の折丁の片面が紛失している。

本文の内容は完結しているから紛失している片面は奥付部分。
奥付表記は無くても構わないだろうということで、紛失した片面を別紙(写真の青色紙)で補う。

写真の┃┃を貼り合わせて一枚に復元。
d0092767_13101532.jpg
仕上がり。
d0092767_13102373.jpg
一丁中綴じだから、直線カットして見返しを剥がすと、驚いたことに縫い代は補強されていない。
見返し用紙一枚で本文を繋ぎ止めていたのだから、切れて脱落するのは当たり前。
d0092767_13102612.jpg
断裂している見返しの裏から、オーガンジーリボンテープで補強してつなぐ。
ここは綴じラインになるところなので、和紙テープではもちこたえられない。

補強した見返し用紙と古い綴じ糸を外した本文を重ね、センター合わせで新綴じ穴をあける。
d0092767_13102944.jpg
※V型の台は 一丁中綴じ穴あけ台


綴じたあと見返しを表紙ウラに貼り戻して終了。









[PR]
by ikuohasegawa | 2017-04-01 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(0)

4-63)ゆるんだノド際にグルグル ボンド入れ

図書館は、本が返却された時にチェックし破損本を選び出す。
借りた人を疑っているのではなく、カウンター業務の空き時間を利用して破損の確認をしているのだ。書架から破損本を選び出すという業務は無い。
したがって、利用(貸出し返却)が少ないと修理する本は少なくなる。

修理する本が極めて少ない日があった。
せっかくの修理日なので、書架に行き要修理本を探した。

狙いを定めたのは人気作家の文芸書。
幾冊かを見つけ出した後、松本清張全集(1971年刊)の一冊を手に取るとグズッとした感じ。
全集(50冊以上ある)のうち22冊の見返しノド際がゆるんでいた。しめた。これだ。
PCで検索した人が予約を入れると厄介なので、一旦「行方不明」扱いに指定しなおして修理に回した。

その日の修理分をまかなえる冊数だと思ったが、10冊に手をつけないまま終了してしまった。
d0092767_13100041.jpg
10冊分の大きく抜けた松本清張全集の書架が埋まるのは約3週間後になる。
それまで放置しておくことは、選び出した責任上できないから臨時修理にでかけた。

竹ひごにボンドを付けて、ゆるんだノド際にグルグル。
d0092767_18025832.jpg
クリップでミゾを押さえ圧着。
d0092767_13100763.jpg
欠落したりシオリひも、途中で切れたシオリひもを交換。
d0092767_13101077.jpg
翌日には書架に戻せます。
これにて「行方不明」の指定解除。













[PR]
by ikuohasegawa | 2017-03-26 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(4)

4-61)一丁中綴じの絵本を綴じなおす(2)

手作り製本の会例会。

課題の上製本で仕上げる奥の細道が、ぼつぼつ出来上がってきた。

右はジャケットを付けた作。
中はブックケース付き。
左は三方(天・地・小口)断ちを待つ綴じ上げた本文。
d0092767_18043176.jpg

午後からは図書館で本の修理。
手がけていた絵本「もこ もこもこ」を仕上げた。

「もこ もこもこ」は大きく破れ、綴じ代が欠けていた。
d0092767_17375972.jpg
こんな感じに仕上がりました。
欠けていた綴じ代を補い、切り取った見返しと共に中綴じをした。
d0092767_18075158.jpg
左は表紙ウラの見返し。 の間には、貼り戻した見返しのカットラインがうっすらと見える。
右ページは破れを補修した本文。

ちなみに、破れの補修に使ったテープはペーパーエイド((フィルムルックス社)。
d0092767_06154453.jpg
本年度の修理はこれにて終了。
一年間で951冊を修理していました。









[PR]
by ikuohasegawa | 2017-03-24 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(4)