カテゴリ:製本&修理:関連( 354 )

4-448) 字典の函を修理する 冨山房・詳解漢和中字典

過去に自社が出版した「詳解漢和中字典」を後輩君が入手した。

Amazonで1円(送料別)だった由。
1円という低評価から救出したのだから偉い。愛社精神である。

壊れている函を修理したいと申し出があったので、ここでアドバイスします。

まず、添付されてきた「詳解漢和中字典」の函の写真。
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しかし私は本の修理はするけれど函の修理をしたことが無い。
図書館は本の函をほとんど廃棄するからね。

自分の広辞苑の函だって壊れたままで使っている。
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これを修理するとすれば、剥離している層の全てに筆先に付けたボンドを塗り、固める。

試しにやってみました。
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和紙テープを使う場合でも剥離している層をボンドで固めその上に和紙テープを貼ります。
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日焼けした函に和紙テープを貼ると、ご覧のように不自然に目立ちますから和紙テープは使わない方が良いと思います。


修理対象は「我が冨山房の詳解漢和中字典の函」ですから、実用修理ではなく象徴的?歴史的遺産?保全であろう。
ならば、ここまで使っていただいたことに感謝し傷も歴史と、今あるがままを受け入れ保存したらどうでしょう。
やっても剥離層をボンドで固めるとところまで。

その上で、函をグラシン紙や透明PPシートで、くるみ、これからの破損を防ぐ。
帙函を誂え収蔵するほどではあるまい。

貼った和紙テープを剥がすと劣化した函の層が剥がれるので、このまま先に進めます。
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函の小口に折り込みます


グラシン紙は硫酸紙、パラフィン紙とも言い高額古書などをくるんでいるあの半透明の用紙。ただし入手しにくいので私のように透明PP袋をカットしてくるめばよい。
広辞苑の函は側面を切り開いたA4透明PP袋でくるめました。


図示するとこういうことです。ピンクの線がPPシート。
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どうしても和紙テープを使いたいというのであれば差し上げます。

また、作り替えたいというのであれば現在の函を分解し、実物合わせで板紙をカットし自分で工作できます。
健闘を祈る。


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by ikuohasegawa | 2018-01-16 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(6)

4-444) 手作り製本の会 初例会

手作り製本の会の新春茶話会。
ケーキは評判のケーキ屋からの取り寄せ。
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近況、抱負をこもごも語り合い、手作り製本への意欲を高めました。

これまではアルコール付きの新年ランチ会を開催していたが、昨年事件を誘発したので・・・救急車で搬送、精密検査を経て単なる貧血と判明した会員あり・・・幹事のS口さんは今年から禁酒の茶話会に変更。

聞けばその後別日の新年会でも救急車要請をしたそうです。
新春早々、119を2回となればトラウマになるのも無理もない。

そうなのよ、日中の集まりに参加できるメンバーは中高年がほとんどですから用心に越したことはない。
中高年というのは混じっている中年メンバーさんへの配慮で、実態は前期及び後期高齢者が大部分なのです。

よってコーヒー紅茶の茶話会開催という次第。

美味しいケーキをいただき、事無く解散いたしました。
皆さん、今年も元気で参りましょう。





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by ikuohasegawa | 2018-01-12 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(4)

4-443) 初 本の修理は並木第四小学校

並木第四小学校の初修理に集ったボランティアさんの耳目を集めたのは、ノロウイルス一家。

今になれば笑いながらの話で済むが、パパは二次感染するは、妹は苦しむは、作ったケーキはあるは、御節はあるは、人の集まる予定はあるはの正月休み。児童のノロウイルス感染は大騒動だった由。家庭内集団感染お疲れ様でした。

途中、校長氏来たりて新年の挨拶と共に新年会の誘いを受ける。
参加します。

修理の一冊目は、ノドのゆるみから寒冷紗と表紙が切れた「は虫類両生類図鑑」。
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見返しの片側を切り離し、切れた寒冷紗をとりかえる。
クータを入れ貼り戻して、表紙の切れ目を接ぐ。
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背にブッカーを貼って修理完了。


休み明けで修理本が少なかったから幾冊かを修理して早めに辞去。掛かり付けの医院へ向かった。

ポリープ内視鏡検査の2月早々の日を予約しました。
自覚症状は皆無だが多産系と見えて毎年幾つかを摘出するので、欠かすべからずと申し渡されていますから。
Chiも口には出しませんでしたが、いつ行くのかしらと気をもんでいましたね。

年中行事ですからこれを終えないと一年が始まらないのですが、楽しいことではありませんからグズグズしてしまいました。


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by ikuohasegawa | 2018-01-11 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(6)

4-442) 広辞苑の8㎝が製本の限界

広辞苑の10年ぶりの改訂が話題になっている。
眼にした記事の中では毎日新聞 「広辞苑」10年ぶり改訂 担当者が明かす知られざる魅力が、詳細に伝えている。

一昨日、本ブログにも広辞苑関連のコメントが2通入った。
いずれも広辞苑の厚さ8cmが製本の限界であることを伝えて頂いた。

新刊の第七版は新規収録語約1万語を加えて約250万語。140ページ増えて3216ページになるが本文の厚さ8cm以内は厳守。
ちなみに重さは3.3キロ。3216ページは1608枚ですから1枚当たり2.05gです。
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増える新語と製本限界8㎝の制約で、とられた策は紙を薄くすることだそうです。

まず、手持ちの第二版補訂版・1976年(昭和51年)発行を測ってみました。
確かに厚さはおおむね8㎝。
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ついでに量ってみると重さは2.4㎏。2448ページ(1224枚)ですから1枚当たり1.9g。

比較のため並べて書くと
第二版は厚さ8㎝で1224枚 2.4㎏・1枚当たり1.9g
第七版は厚さ8㎝で1608枚 3.3㎏・1枚当たり2.05g
第七版の用紙の方が薄いのに1枚当たり0.15ℊ重いことになる。

薄い用紙が重い理由は、第六版にありました。 
Wikipediaによると
広辞苑第六版は24万余語が収録される。製本の際に薄くて丈夫な新しい紙を作るために、紙にはチタンが入っている。また、チタンを入れることで薄くても透けない効果がある。第五版よりページ数が約60ページ増え、厚さでは僅かに薄くなったが、チタン入りのため重くなった。
追記:駕籠に乗る人担ぐ人そのまた草鞋を作る人
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by ikuohasegawa | 2018-01-10 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(8)

4-439) 思い付きの結末 またしても「くわえしろ」

「必要部分の2辺を印刷面の端に寄せるとカットの手間が省ける」

画期的な方法だと思ったのは思い込みに過ぎなかった。
「くわえしろ」が必要だった。くわえしろとはプリンターが紙を送るのに必要な幅。

手持ちのキャノン製は約5mmが必要なようで、ふちなし原稿で印刷しても 「くわえしろ」を付けて印刷し余白が付加されてしまう。
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右端のくわえしろも断裁しなくてはならぬ。
これまでも「くわえしろ」には悩まされてきたのだから、うかつというべきだろうが此度の思い付きも 「くわえしろ」に阻まれた。
しかし、下部はカットしなくて済むので少しだけ改善できる。

沈思黙考。

対策として考えられるのは二つ。
一つは必要部分3枚の間に「くわえしろ」分を付加して原稿を作る。
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右端の、くわえしろ分を各図の間に加えておく

そうすれば右端はカットしなくて済む。
出来上がり寸法は大きくなるが用箋という用途を考えれば問題はないだろう。

二つ目は左に寄せた原稿を作る。
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大きく余白のある側をくわえさせ、くわえしろを余白に吸収させようという魂胆
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これとて思い込みに過ぎない可能性は高い。加えて、原稿を作るS口氏を煩わせて結果出ずということもある。
自分でやればできなくはないと思うが、かなりの時間と労力、根気を要します。

さて、どうするかな。

注:本人の覚えですから、「へー、読んだよ」で結構です。



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by ikuohasegawa | 2018-01-07 04:16 | 製本&修理:関連 | Comments(4)

4-437) ゾロリおばさんの二十首

本の修理ボランティア仲間に歌を詠む方がおられる。

自ら製本された歌集を頂き感慨深く鑑賞させていただいたが、私のお気に入りは
「母よりの文はやさしきくずし文字末尾はいつも風邪ひかぬよう」

ありし日の母を想い口ずさんでおります。

同人誌新年号に寄せた二十首を強引にいただいた。
同人誌掲載なれば公開しても不都合はあるまい。
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そうそう、そんな気持。

そうそう、人が手をつけぬ怪傑ゾロリの平綴じを積極的に手掛けていただいております。

本年も宜しくお願いいたします。




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by ikuohasegawa | 2018-01-05 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(5)

4-340)文庫本サイズの上製本 (方丈記)

この先の手作り製本の会課題を準備し始めました。
課題は文庫本サイズの上製本で仕上げる方丈記。

原文を「青空文庫」からワードへ移してS口さんに渡す。
S口さんは原稿を、20pt・23字✖9行で組んでデータとする。
20ptはかなり大文字ですから、読みやすくなります。

そのデータが私のところへ届きました。
紙ベースの方が馴染むので、印刷紙面を見てあれこれ注文を付けます。
印刷した用紙は、過去のヤレ紙。
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日記帳を印刷したとき、両面印刷の天地違いやA4用紙にA5で印刷してしまった30枚の有効活用である。

レイアウトの希望も伝えます。
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正月休みの間に、校正のようなことを終えたいと思っております。

校正担当というと聞こえは良いが言いっぱなしで、データ化するのはS口さん。
申し訳ありませんねえ。






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by ikuohasegawa | 2017-12-30 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(2)

4-339) 一筆箋を作る(断裁個所を減らしたい)

いよいよ暮れも押しせまってまいりました。
日頃まめに掃除をしているので、暮れの大掃除は要所要所でよいではないかと言ってみました。
「大掃除をしないと年神様をお迎え出来ない」と、言われ
「ハイッ」
担当個所レンジフード換気扇をはじめ掃除に努めております。


さて、花の一筆箋は、用紙に印刷したものをカットして作る。

A4横折が収まる「長三封筒」もあるが、見慣れぬ長さ故、違和感を覚えるサイズである。
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左が「長四」右が「長三」


とりわけご婦人用・・・セクハラ?・・・花デザインの一筆箋を好む方々用には、見慣れた「長四封筒(B5横三つ折用)」が使えなくてはならぬ。
とは言うものの、このためにB5用紙を誂えるのも大変なので用紙はA4を前提にしなくてはならない。

そこで、S口さんはA4スペースの中央にB5を配置して各所に断裁トンボを入れてあります。
※トンボ:多色印刷の各色版の刷り合わせを正確にするための目印。印刷体裁の指標および製本加工の指標、断裁の指標として使用する。
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赤い線は印刷罫線ではなくカットラインです。


こういう風に配置できないでしょうか。
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カットする回数が減って助かるのですけど。
トンボが無い側は測って位置を決めます。

用紙中央に配置するのが常識のようですが、私は素人ですから常識外れのことでも言えます。

メールで依頼したところ、さっそく届きました。
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暮れのお忙しい中、ありがとうございました。


もう一つ、思いつきました。
トンボの内側ギリギリでカットするので黒い線が残ることが多いです。
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長所短所ありましょうが私はカットラインから離れた位置にトンボが引いてある方を好みます。
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こちらの方は、また機会をみてお願いすることにいたします。





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by ikuohasegawa | 2017-12-29 05:10 | 製本&修理:関連 | Comments(2)

4-338) 本年最後の本の修理

御存知だと思うがオサライします。
いま、働き方改革が広がり労働時間の管理が厳格化され、残業時間の削減が顕著な企業もみられるようになった中で、仕事が早く終わってもまっすぐ家に帰らないサラリーマンが増えている。
書店、喫茶店、パチンコ、ネットカフェ、家電量販店、ゲームセンター、居酒屋・・・それぞれの場所で、時間外勤務をしていた時刻まで時間をつぶしてから帰宅するという。
早く帰っても「家で自分の時間が持てない」「家で仕事のストレスを解消出来ない」「家に居場所がない」
それぞれの思いを抱えながら、夜の街をふらふらと漂う男性サラリーマンたちを人呼んで“フラリーマン”。

家で自分の時間が持てない訳でも、家に居場所がない訳でもないが図書館へ行き「ひとり修理」をしました。

相変わらずページ外れが多い。

ドナ・ウイリアムズの「自閉症だったわたしへ」は多くの人が読んだようで、ページ外れがひどい。
2000年版だからねえ。
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これは私が修理に手をつけた状態なのですが、軽く引っ張るとペリペリ外れました。

例によって、背に付いている元の接着剤をキレイにはがし荒目のヤスリで荒らす。

ノコギリで切れ目を入れ糸を渡してボンドで固める。
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背に貼った寒冷紗に切れ目を入れて、本文に貼る片と表紙に貼る片を作る。
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右は本文に貼る片を小さくするためにカットした破片です。
(念のため:表紙ウラにはを貼る。本文には□を貼るという意味です)

表紙に戻して修理完了。
ノドの奥に、背に渡したタコ糸が見えます。
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この日は19冊を修理して、
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居場所があるので真っ直ぐ家に帰りました。


今日は御用納めだけれど、フラリーマン諸君は正月休みをどう過ごすのだろう。
「この俺に温かいのは便座だけ」っていうサラリーマン川柳があったけど、家に居場所がないお父さんたちも、ずーっと便座に座っている訳にはいかないしねえ。

暮れのうちは「今日は専務の家の大掃除」正月は「部長宅に年始の挨拶に行ってくる」って街に出るのだろうか。
今時、そんな理由は通用しないか。







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by ikuohasegawa | 2017-12-28 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(8)

4-337) ボタニカルアートの一筆箋

花の一筆箋を印刷しました。

画家を友人にもつS口さんが原画使用の許諾を得、PDF原稿化し配布してくれました。
さすが画家の手になるボタニカルアート。
精緻にして美しい。
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トンボに合わせてカットします。


個性を主張しない美しさが一般向けの一筆箋に最適。

全てを印刷し終え1枚づつ鑑賞していて「おや? 栗と富有柿だろう 」

老眼の私には『 苦難と富有柿 』読めてしまって困惑。
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K・U・R・Iの誤変換で起きるミスではないし、どういう意図だろう。

しばらく考えて推測した。

栗→苦離(クリ)=苦から離れる。
縁起の良い1枚だった。

とは言うものの、この1枚を送られた先方が『苦離』の字面を見てどう受けとるかはわかりません。
私の場合は「おや?」という違和感が先で、縁起が良いにたどり着くまでに時間がかかりました。

この一枚だけが言葉遊びというのは唐突過ぎるからから、罫線だけの箋と入れかえて30枚セットにします。妙な事態になっては困りますからね。

惜しいなあ、栗と富有柿の絵は好きなのにね。

それにしても、植物の特性を変えないで正確に描くボタニカルアートの画家さんが、どうして栗だけ『苦離』と遊んだのでしょうね。
思いついたら止められなかったということかなあ。

『苦離と富裕柿』だったら、言葉遊び感が増したろうに。

この件を電話で話したS口さんは原作者に全幅の信頼を寄せて、全く頓着せず。
この件は単なる世間話で終わりました。

私の取りこし苦労だったのかな。









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by ikuohasegawa | 2017-12-27 04:18 | 製本&修理:関連 | Comments(3)