カテゴリ:製本&修理:関連( 333 )

2-297) 本の『のど』はどうして『のど』?

本の部分には名称がある。
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新潮社HPより

修理講座で説明をする時、ほとんどの名称は受け入れてくれると思うが、『のど』は説明を加えたくなる。
「どうして『のど』?」と私が思ったから。

『のど』を説明するには、まず小口から。
辞書をひくと、小口:1)金額や数量の少ない部類。2)切り口。横断面。 とある。
本の部分の名称の場合は切りという意味で、小といいます。

人の口の奥は『のど』ですから、本の場合も小口の奥を『のど』といいます。
文献、WEB上でも確認はできていないが合っていると思います。

本文の各部分にも名称がある。
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株式会社理想社HPより

この中にも由来を知りたくなる一語があった。それはノンブル。
古くは丁付けといい、普通の人は「ページ数」とか「ページ番号」という各ページの前後関係を表す数字を業界ではノンブルという。

その由来を詳細に調査しているレファレンス協同データベース によると、フランス語のNombreという説と、英語のNumberの訛りという説がある。正否は不明という。

さらにnombre(numberほか)を、ページ番号、またはページ付け(丁付け)の意で仕様している国はないそうだ。



さて、こういう出来上がりの本は、版面が歪んでいるとでも言うのだろうか。
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読む前に頁を繰ってこの歪みをみつけたとき、えらく得をしたように感じた。
ここから10ページにわたり版面が歪んでいる。
当時の岩波書店編集部は慌てたことだろうなあ。それとも気が付かなかったか。

神田の古本店で見つけた夏目漱石全集第二十巻 評論集である。岩波書店昭和32年版。200円也。

薄手の板紙を芯にして包み製本で表紙を付けている。サイズは親書判。
チリが2㎜、表紙は布というのも好ましい。
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同じ装幀の漱石全集は存じているが、『ノド』から手が出るほど欲しかったわけではない。
未読の漱石の評論集に惹かれこともあるが、新書版の全集というのが珍しくて購入を決めた。。

なお、この装幀は漱石自らの手によるものとのこと。
レファレンス協同データベース
「装幀の事は今迄専門家にばかり依頼していたのだが、今度はふとした動機から自分で遣って見る気になって、箱、表紙、見返し、扉及び奥付の模様および題字、朱印、検印ともに、悉くじぶんで考案して自分で描いた」(『心』の序文)
表紙は、中国周代の石鼓文(せっこぶん)の拓本を地紋とし、『康煕(こうき)字典』の「心」の項を貼付するという、東洋趣味のにじむ味わい深いデザイン。(文豪の装丁より)





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by ikuohasegawa | 2017-11-18 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(2)

4-295) 今秋の修理講座は無事終了しました

11月14日、学校図書館本の修理講座最終回。
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ノド割れのひどい児童書の平綴じ修理を実習してもらいました。
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これにて、今秋の主要行事は終了いたしました。
サポーターとして協力いただいた皆さん、まことに有難うございました。

午後は磯子図書館本の修理ボランティア。
私の手掛けた一冊は機関車トーマスシリーズ・みどりの機関車ヘンリー。

本文の背はグズグズで綴じ糸が切れている。前の修理で見返しを補強したクリアーテープテープの端に沿って新たに断裂が発生している。
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表紙と背表紙は普通に見えるが、掛けてあるカバーでつながっているだけ。断裂している(の部分)。

ブッカーをカットして表紙からカバーを外すと、ご覧のとおり。
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印はカバーの裏です


断裂ラインを合わせて表はブッカーにて接合。
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見返しも断裂ラインを合わせてボンドで接着。
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本文は、以前の修理・・・二度や三度の修理ではありません・・・のボンドが層をなして固化していた。
ボンドを削り、除きました。
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平綴じして表紙と合体。

この日は16名の参加を得、42冊の修理をいたしました。









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by ikuohasegawa | 2017-11-16 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(4)

4-293)豆本キット平綴じ化計画

今日も最低気温を更新するようですが、昨日も今季最低気温だったようです。
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さて、豆本ストラップの要望(並四小関連)が出ているので準備をしなくてはならない。

豆本は小さくても本の形をしているので開いてみたいのは当然。それなのに、これまでの豆本は開くとノド割れをおこしやすい無線綴じ(ボンドで固める)だった。
次回の豆本は平綴じの上製本(ハードカバー)にしてノド割れを防ぎたい。

平綴じをするためには豆本の本文ノド際から1~2㎜のラインに孔をあける必要がある。目打ちは紙を押し広げて孔をあけるから本文が裂ける恐れがある。ここはドリルを使うにこしたことはない。

1㎜のドリルの刃は持っているが、電動ドリルでは豆本に対してトルクが強すぎる。電池が切れそうになった充電ドリルくらいのトルクが良いのだけれど・・・。
あれこれ思案検索の末、アマゾンでポチ。

ということでツイストドリルを入手。
さっそく試作。
ノド際から約1~2㎜のラインに直径1㎜の孔をあけました。
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カッターマットの格子は5㎜です


ツイストドリルとは
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部分は空転する構造で、ドリルの先を位置に当て部分を押さえて固定しつつ軸を回す(手動)とドリルが孔をあけるという仕組みだ。
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この2個の孔に糸を通し平綴じすると、ノドの割れを防ぐことができる。かいけつゾロリと同じ処置です。
3個あけると糸が固く結べるのだけれど、作業が50%増えるから思案しております。


続いて、手回しより電動ドリルという誘惑に抗しきれず、小径ドリルチャックをアマゾンでポチ。
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手持ちのトルクの弱い電動ミニドリルの軸受けは六角専用なので、このチャックを介して1㎜刃を使う。


これが11月11日送り出しで届くのは11月26日。
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遅いと思ったら Chin postでお届け? 
物が中国ということはままあるけれど、中国発っていうこと?

おまけに、11日は中国の独身の日とかでオンラインショッピングの割引セール開催。アリババなど通販各社で2兆8000億円を売り上げ8億5千万個の荷物が動くという。エライ日と重なってしまった。
価格¥709  日本(関東)への配送料無料 の小径ドリルチャックの運命や如何に。

我がことながら結末が見ものである。








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by ikuohasegawa | 2017-11-14 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(4)

4-291) 図書の修理とらの巻を買いました

最近出版されたと教えてもらった『図書の修理 とらの巻』を入手しました。
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NPO法人書物研究会編 板倉正子監修とあるが、正式にはNPO法人 書物の歴史と保存修復に関する研究会 という。奈良県を拠点に1991年より活動を始め、「西洋古典籍の保存修理」を理論的かつ系統的に教える講座を開催されていると承知している。

そこが、クラウドファンディングで資金を調達して、図書館員やボランティアのために図書修理の技法書『図書の修理 とらの巻』を刊行したのである。

修理講座を請け負う都合で修理テキストをまとめている者として、僭越ながら多少の対抗心まじりで『とらの巻』を開いた。

本文の前にグラビアページを付加し西洋古典籍類の修理写真を掲載していて、それを順に見ていると編者の日頃の本格的な格調高い活動を彷彿とさせる。しかし本文に進むとイメージが異なる。

イメージが違うなあ。そういえば『図書の修理 とらの巻』というタイトルも軽い。
初心者向きであるなら作例は一般書や絵本が合うと思う。

更に、本文に登場する老博士は「 ・・・なのじゃ」 「・・・にもふれておこうかな」などという、まるで日本むかし話のような会話をする。ウゥーン。
私の周りには、私を含めてそういう話し方をする老人はいません。
読者に親しみを抱いて欲しいゆえの老人キャラクター採用だろうし、その役割語だとはいえ私は受け入れられない。

「 ・・・なのじゃ」が出てくると、一挙に子供向け作品やB級作品ぽく感じてしまうのじゃ
平易な説明を普通にして欲しいと思うのじゃよ、わしは

もう一つ、グラビアページの材料は『糸』なのに詳細参照のP95は『くしゃくしゃにした和紙』になっていることも気になる。
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写真は全て同書より

ちーがーうーだーろー。ここは糸だろーー」落選しましたけれど。
『今回の修理では・・・』とことわりはあるものの読者の混乱を招く。糸と和紙、どちらにしたらいいのだろう。

さらにグラビアページには、糸の切れた絵本の『中身を綴じ直す』とあるが
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本文には綴じ方の解説は一行もない。どう綴じたらいいのだ。
これでは解答が付いていない問題集じゃないか。
図書の修理とらの巻(2)の刊行を待てということだろうか。

学びを新たにした技法がある。
背を中心に大がかりな修理をすると背が肥大化して小口が表紙から出ることがある。
同書でその対処技法を得た。

この件は別稿にて。







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by ikuohasegawa | 2017-11-12 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(4)

4-289) 保土ヶ谷図書館 修理講座最終回(糸綴じ)

11月9日、保土ヶ谷図書館主催本の修理ボランティア養成講座の最終回。

この日は、冊子を製本して糸綴じを実習した。
合わせて、絵本にある異なる見返しの付け方を学んでもらいました。


用紙を折って綴じ穴をあけ
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糸で綴じ見返しを付け表紙でくるみます。
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ということで、全4回の講座終了。

手前味噌というのは『自分の家で作った味噌の味を自慢することで、自分で自分のことを誇ることである。 つまり、自画自賛・自慢』といった意味になる。まさに自慢なのですが私の味噌は、製本を終えると見返しのつき方二種類を確認できる冊子に仕組んであること。
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(自慢ですから解る人だけ解ればいいのです)


次回があるとすれば、表紙はもう少し厚い用紙にするのがよかろう。
薄い用紙ではボンドの水分で表紙がよれてしまう。

磯子から遠路はるばる参加下さった5名のサポーターの皆さん、ありがとうございました。
皆さんがいなければ講座の価値は半減します。深謝。

あるとすれば次回も宜しくお願い致します。







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by ikuohasegawa | 2017-11-10 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(0)

4-288) 並四小本の修理の日

昨11月8日のプロジェクター読み聞かせ会は、先週の1・2年生の会に続いて3・4年生の会でした。
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「おかえし」の続き
・・・・キツネのお母さんのおかえしはキツネの子供。
  <会場ザワザワ>
タヌキさんのおかえしはタヌキの子供。
  <会場ザワザワ>
キツネのおかあさんは、おかえしをしようとう家の中を見回しましたが、いただいたものばかりで、もう何もありません。
こうなったら私をお返しにしよう。
「おかえしのおかえしのおかえしの・・・・・おかえしにこの私をもらってください」
<会場ザワザワ>

タヌキのおかあさんは、おかえしをしようと家の中を見回しましたが、いただいたものばかりで、もう何もありません。こうなったら「おかえしのおかえしのおかえしの・・・・・おかえしにこの私をもらってください」そう言ってキツネさんのお家へ行きました。
<会場ザワザワ>
「おや、ここには私の坊やもいるし自分の家にあったものばかりだわ。まるでキツネさんの家に引っ越してきたようだ。そうだ引っ越し祝いを届けなくちゃ」でも家にあるのは全部一度あげたものばかりです。

困ったタヌキのお母さんは「そうだ、森のイチゴをおかえしにしましょう」と坊やと出かけました。

森へ行っくとキツネの奥さんと坊やがイチゴつみをしていました。仲良くみんなで、美味しいイチゴをいただきました。


雨の日の中休みは図書室が混みます。

この日は、特に混みました。休み時間終了のチャイムが鳴ってもこの列。
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帰れません。帰りません。

読書週間中とあって本は5冊まで借りられる。
そこへもってきて、雨の日スタンプラリーのスタンプを押して欲しい列なのです。









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by ikuohasegawa | 2017-11-09 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(6)

4-286) I SPY を ミッケ!と訳したのは

今回手に入れた英語絵本の1冊が「 I SPY A FUNNY FROG
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私が SPY で思い起こすのはこういう方。
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フリー素材 いらすとや より

何かを当てることば遊びを始めるとき、I spy と最初に言って遊びがスタート。
Ispyは「見つけてごらん」「さがしてごらん」「なにかな・・・これ」「な~に・・?」 というような意味なのだそうです。

日本語版では I SPY は副題で、本題は ミッケ!。
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I SPY ⇒ ミッケ!
「見つけてごらん」に対するこどもの反応だね。いいね。

こう訳したのは糸井重里。

日本では「ウォーリーをさがせ!」と双璧をなす、かくれんぼ絵本です。

手に入れた英語版は学校教材用の廉価版のようで、本文32ページ・表紙ごとの一丁中綴じ。
20cm×20cmと小ぶりなので大型絵本ほどの探索意欲は湧かないが、密度が低い分、豆本のコンテンツに合いそうです。
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by ikuohasegawa | 2017-11-07 04:16 | 製本&修理:関連 | Comments(2)

4-285) 本の修理講座 の準備

本の修理講座 IN 磯子図書館 (3)の準備。
例によって修理実習に使う教材を廃棄本から選びだしたほか、受講生アンケートにあった文庫本・新書の修理説明用見本を作った。

文庫本・新書などは単票の束の背を接着剤で固めた製本のため、経年劣化によりノドが割れたり本文が脱落する。それが写真の左側。

写真の右側下半分は粗目のヤスリで背を荒らしノコギリで深さ3㎜の切れ目を入れたところ。
写真の右側上半分はノコギリの切れ目にタコ糸を埋め込んで背幅の寒冷紗を貼って補強したところ。
見本ですから工程を見られるように半分にしていますです。
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これを表紙と結合します。


もう一つ。
綴じ代が裂けて糸の利かなくなった絵本の綴じ代を修復する見本。

天と地の端から裂いて、天側はオーガンジーリボンテープを貼りました。
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和紙テープでは糸を引くと耐えられない。
その点オーガンジーリボンテープは織ってあるのでしっかりと糸を止める。
紙面の色は、ほとんど影響なく見えています。透過性でも和紙テープに勝る。

このオーガンジーリボンテープの利用は、我が“本の修理いそご”のオリジナルである。

ちなみに絵本の丁の代役を務めたのは、ベルギー美術展ポスターのヒエロニムス・ボスの絵画部分です。





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by ikuohasegawa | 2017-11-06 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(2)

4-284)本の修理ボランティア養成講座第3回

保土ヶ谷図書館主催・本の修理ボランティア養成講座第3回目は11月2日でした。

まず前回修理した本の具合を確認。
バラバラに分解し本の構造を確認してから組み上げたが、復活している本を見れば嬉しさもひとしお。
多少の自信も生まれようというもの。

この日は平綴じの実習。
本文のノド割れは人気の児童書や年期の入った並製本を中心に発生するが、その修理と再発防止のために有効な平綴じを習得してもらう。

表紙・裏表紙の見返しの遊び紙を本文から剥がし、ノド際に綴じ穴をあける。
3個は、木槌を打ち目打ちであけ、
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2個はドリルでの穴あけを体験してもらう。
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このとき、最初の目打ちは抜かないで打ち台に固定しておくのが良い。

来週は最終回。
糸で綴じなおす修理(冊子を作る)の実習をします。               














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by ikuohasegawa | 2017-11-05 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(0)

4-281)並四小 プロジェクター読み聞かせ会を見学

昨11月1日は、特別企画プロジェクター読み聞かせ会。
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この日の絵本は「お か え し」(福音館書店)です。
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キツネの奥さんをT橋さん、タヌキの奥さんはH井さんが演じていました。
見守っていたはずの私ですが、物語に引き込まれてしまいました。

ある日、タヌキの家の隣へ引っ越してきたキツネの奥さんが、タヌキの奥さんのところへあいさつにきました。

「今度、隣へ越してきた、キツネです。これは、ほんのつまらないものですが・・・」キツネの奥さんは、そういって、かごいっぱいの「いちご」を差し出しました。

キツネの奥さんが帰ると、タヌキの奥さんは大きなかごに「タケノコ」を入れて、キツネのうちへ行きました。
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「これは、ほんのつまらないものですが、いただいた いちごのおかえしです」

ところが、しばらくすると、また、キツネの奥さんがやってきて、「これは、ほんのつまらないものですが、おかえしの おかえしです」と、花と花瓶を置いていきました。

えーと、何がいいかしら。タヌキの奥さんは考えて、「これは、ほんの つまらないものですが、おかえしの おかえしの おかえしです」と、絵と壺を持っていきました。

そんな感じで、「おかえし」は、どんどん続き
「おかえしの おかえしの おかえしの・・・・・おかえしです」
【おかえしが何回もつづくなあ、と思い始めた子供たちを見透過したかのような意外な展開をみせる。】
おかえしはキツネの子供。
会場ザワザワ。
そのおかえしはタヌキの子供。
会場ザワザワ。

12回目の「おかえし」は、いったいどうなるのでしょう?

もちろん最後まで読み聞かせましたから、児童は大喜びでした。


そのあと図書室で本の修理をしました。
糸の切れた絵本の見返しを切って外し、
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綴じなおして貼り戻しました。


この日のプロジェクター読み聞かせは1・2年生でした。来週は3・4年生です。






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by ikuohasegawa | 2017-11-02 04:15 | 製本&修理:関連 | Comments(6)