食べ物

2-78) かべす

晦日の百貨店で秋田名産展という催し場に紛れ込んだ。
D居さんは生の子持ちハタハタは本当に美味いと言っていたが、売っているのは干物。以前食べた抱卵したハタハタの干物は美味そうに見えたが、卵はまるでプラスチックの作り物の様な硬さで、子持ちだからと言って決して美味くはなかった。等ということを思いながら場内をブラブラ。

そこで、お正月用「かすべ」という表示を見た瞬間、何故正月用なのだ、何故秋田で、と混乱した。
うろ覚えの出久根達郎氏のエッセイが混乱の因。混乱は帰宅して調べて解消できたが、ここに正しく引用する。
 「かべす」という言葉がある。劇場の隠語で、芝居を眺めながらの、もう一つの楽しみ、眼の法楽に、舌の慰み、菓子と弁当と鮨の頭文字である。江戸期の言葉のようで、当時は、「かべすの客」と言い、酒抜きの客、を侮って使ったらしい。
我が脳ミソの微かなシワにひかかっていたのが「かす」で、催し場で眼にしたのは「かす」。わずかに違う。

2-78)  かべす_d0092767_5181448.jpg

この得体の知れぬ乾き物が 「かすである。
300gで1800円だから、結構お高い食材である。
かすべとはエイの総称。秋田では古くからエイのヒレ部分の干物(干しかすべ)を食材としたかすべ料理が、日持ちのよい食べ物として親しまれてきた。なかでもよく知られているのが、干しかすべを一昼夜水につけて戻し、いったん水煮し柔らかくなったところで砂糖(ザラメ)、酒、醤油でじっくり煮つける。このかすべの煮つけが、もてなしに欠かせない料理である。

なにやら「秘密の県民ショー」めいてきたが、大晦日の今日、東京のどこかでおせち用の「かすべ」を煮ている秋田出身の家がきっとあることだろう。

それでは、良いお年をお迎え下さい。
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by ikuohasegawa | 2009-12-31 04:34 | 食べ物 | Comments(0)

十や十五連休なんて目ではない。三百六十五連休が始まった私。


by ikuohasegawa