重箱の隅をつつく

2-273) 高齢者所在不明

高齢者の所在が嘘であったり、所在不明が表に出て盛んに報道されていた時、あるコメンテーターは児童虐待と絡めてこう言った。
「共に日本人の人間関係が希薄になったことを現す象徴的事件だ。日本人が根本的に考え直さなくてはならない問題だ」

それは違うだろうと思わず声に出した。
日本人の人間関係が希薄になっているような気はするけど、これは人間関係を濃密にすれば自然に解決できるという問題ではない。
格好を付け幼児虐待と絡めて、無理に共通項を作り出さなくてはならなくなって君は誤った。

人間関係が希薄だろうと濃密だろうと、住民の存在が掌握できていないというのは、どう考えても行政の怠慢でしかない。根本的に考え直さなくてはならないのは、行政の戸籍業務のあり方だと思う。
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それと「根本的に・・・・」と前置きした発言は確かに核心を掴んでいるかのように聞こえるけど、根本的などというこけおどしの常套句を使うのはお止しなさい。
どうしても“根本的に”を使いたければ、こうでしょう。
「行政の怠慢を現す象徴的事件だ。根本的に戸籍行政を考えるべきだ」

届出が無ければ抹消しない戸籍というのは一体何なのだ。ひょっとしたら届出があれば戸籍が出来てしまうということかい。
そういえば、年金も申し出ないと支給しないシステムだけど、死亡届けが出るまで支給し続けていたわけで、届出主義というと聞えが良いが、言ってみれば〝住民もたれ〟ではないか。

ところで、戸籍法には罰則規定は無いのか。勿論、正しく掌握していない首長(行政)に対する罰則なのだけど。


と記し、出待ちしている間に、全国各地から所在不明の高齢者が続々と見つかりだした。8月25日には東大阪市が文久年間生まれの森鴎外と同い年の人の戸籍が存在していたと公表した。翌26日には志摩市には165歳の戸籍だけが存在すると報じられた。

それ見たことか。誰と誰の人間関係が希薄だったのだ。どこをもって、日本人の人間関係が希薄になったことを象徴しているというのだ。


行政の対応
職権消除(しょっけんしょうじょ)
担当者が職業上の権限によって、事実でない記述を戸籍から抹消すること。
例えば江戸時代生まれの人物の死亡届が出されておらず、年数からして明らかに死を推定できる、などの場合に管轄法務局の許可を得て行う。


この後、どのような事例が出てくるやも知れぬので、この項の記入日時を記しておく。
8月26日13時。公開は9月2日。
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by ikuohasegawa | 2010-09-02 11:15 | 重箱の隅をつつく | Comments(0)

十や十五連休なんて目ではない。三百六十五連休が始まった私。


by ikuohasegawa