題箋は原本をスキャナーで取り込み印刷したものに、トリパスをスプレーして滲み止めしてある。
ちょいとのぞく橙色の内貼りがアクセントになっている。
その布は元をただせばハギレ。別の裏打ち布を購入したとき、その巻きを保護するため外をクルリと包んでセロテープで留めてあった切れ端だ。
派手な色だしサイズが半端。使い道は無いだろうけど捨てるのは勿体ないので保管してあったという代物。
それを使ったが、少し見えるのがなんとも艶っぽくて、谷崎潤一郎の著作にピッタリの良い配色だとChiが申しております。そのとおり。狙いどおりの効果をあげている。
裾からのぞく〝けだし〟のような色気がある。
手放すのが惜しい。修理不能と申し上げ、本だけ返そうかと思ってしまう位の出来上がりだ。
自分で言うのもなんだけど、技さえあれば作れるからと自分を納得させた。チョッと偉そう。
本体には一切手を着けていない。
手に負えないものには触れないようにしている。
身の程を知るということである。