製本&修理:スキル

2-511)古書の帙(ちつ)完成

預かっていた細雪・上中下三巻の帙(ちつ)完成。
題箋は原本をスキャナーで取り込み印刷したものに、トリパスをスプレーして滲み止めしてある。
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ちょいとのぞく橙色の内貼りがアクセントになっている。
その布は元をただせばハギレ。別の裏打ち布を購入したとき、その巻きを保護するため外をクルリと包んでセロテープで留めてあった切れ端だ。
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派手な色だしサイズが半端。使い道は無いだろうけど捨てるのは勿体ないので保管してあったという代物。
それを使ったが、少し見えるのがなんとも艶っぽくて、谷崎潤一郎の著作にピッタリの良い配色だとChiが申しております。そのとおり。狙いどおりの効果をあげている。

裾からのぞく〝けだし〟のような色気がある。
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手放すのが惜しい。修理不能と申し上げ、本だけ返そうかと思ってしまう位の出来上がりだ。
自分で言うのもなんだけど、技さえあれば作れるからと自分を納得させた。チョッと偉そう。

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本体には一切手を着けていない。
手に負えないものには触れないようにしている。
身の程を知るということである。
身の程を知るというのは「分際をわきまえる」とか「身の丈にあった」と同義だが、そういう謙抑的な生き方は難しい。それは自己評価の甘さが原因となっているように思う。

多くの場合、自己評価と第三者評価には「ずれ」がある。それもほとんどの場合、自己評価は第三者評価よりも高いので、修理でもつい手に負えぬものに手を出し、悲惨な結果で終わることが多い。ブログのネタでも手に負えないものには触れないに限る。
Commented by まるえ at 2011-05-25 16:18 x
いいと思います。すごいと思います。
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by ikuohasegawa | 2011-05-25 04:43 | 製本&修理:スキル | Comments(1)

十や十五連休なんて目ではない。三百六十五連休が始まった私。


by ikuohasegawa