製本&修理:ツール

2-664)廃棄本を修理見本にする

学校図書館の本のうち、記述が古くなったものや破損のひどい本は、廃棄印を捺し処分する。その一部は、本の修理に参加する新人お母さんたちが、修理の練習材料として活用している。

破損する本は、人気があるからこその破損なので、廃棄となれば新しいものを発注して納品されてくる。
その日、廃棄される本の中にあったのは〝ハリーポッターと賢者の石〟
廃棄印は捺してあるし、新しく納品されたから廃棄すると言う。

「廃棄だね」と念を押し、頂いて帰る。

二分の一に断裁。その一方だけ修理する。
治せば治ることを、目にモノ見せてくれる。
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これなら修理した箇所がよく分かる。

そういえば、大阪の旦那連中が女房に言われて傷つくひと言の第三位は「えっ、そこにおったん」だそうだ。
大破した本も全部治してしまうと「あそう、治したん」になってしまう。

そう言われても傷つきはしないが苦労が伝わらないのが切ない時もある。
ビフォー&アフターを明確にしたい。と、思うのは修理人の常。

それにしても、廃棄本であっても本を切断するのは気がとがめる所業ではあった。
「断裁しないで全部修理すればよいのに」という批判が出ることも承知している。
それでも一度だけ一冊だけ〝半分だけ〟をやってみたかったのです。




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by ikuohasegawa | 2011-12-09 05:00 | 製本&修理:ツール | Comments(0)

十や十五連休なんて目ではない。三百六十五連休が始まった私。


by ikuohasegawa