破損する本は、人気があるからこその破損なので、廃棄となれば新しいものを発注して納品されてくる。
その日、廃棄される本の中にあったのは〝ハリーポッターと賢者の石〟
廃棄印は捺してあるし、新しく納品されたから廃棄すると言う。
「廃棄だね」と念を押し、頂いて帰る。
二分の一に断裁。その一方だけ修理する。
治せば治ることを、目にモノ見せてくれる。
そう言われても傷つきはしないが苦労が伝わらないのが切ない時もある。
それにしても、廃棄本であっても本を切断するのは気がとがめる所業ではあった。
「断裁しないで全部修理すればよいのに」という批判が出ることも承知している。
それでも一度だけ一冊だけ〝半分だけ〟をやってみたかったのです。