それはさておき、修理道具箱にはペインティングスパチュラが入っている。これは元々絵画用で、下地を塗ったり絵の具を厚塗りする道具だが、100円ショップで買って、ボンドと澱粉糊を混ぜ合わせるのに使っている。
このたび、そのペインティングスパチュラの先端を砥石で尖らない程度に薄くした。
砥いだところは光沢が鈍く見えている。
セロテープはがし用に仕上げたつもりである。
セロテープをはがすには、まず温めてからテープの端を目打ちやカッターナイフの刃先でおこして、取っ掛かりを作る。そこから剥がすのだが、用心しても紙面を突いてしまうことがある。
この修理も、紙を突いた跡やテープによる紙面のはがれ跡が残ったが、勘弁してもらうよりしょうがない。テープはがし用にスパチュラを用いる人はいるが、私は作業性の悪さが嫌で、つい目打ちを使ってしまう。で、この度はこの有様。
「以後、気をつけます」ということなのだが、気をつけるだけでは改善されないので、スパチュラのカーブした先端を砥いで薄くした。これなら鋭くないし柔軟でもあるからから、紙面を突くことも無いだろう。果たして上手くいくか。
そういえば〝古書修復の愉しみ〟には、本の修理道具を自作したり応用する話題が出てくる。
1980年頃のことなので、牛骨からヘラを作り出したり、ノコギリを加工して使い勝手の良いナイフを作ったり。