製本&修理:スキル

3-4) 平綴じで修理する

 学校図書館の本は、市立図書館ではあまり採用しない手法で本を修理することがある。
 平綴じは比較的簡単で丈夫に仕上がるが、本文に孔を開けて糸で綴じるので、ノド際まで開かなくなるという欠点がある。
 しかし、強度を優先せねばならぬ場合もある。

 並四小のパタパタママへの説明用に、廃棄本を使いサンプルを作った。状態は背割れがはなはだしく、欠落が10ページある。
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 ばらさないで、そのままクリッツプで仮留めして、背に寒冷紗、クータを貼って孔をあけることも出来る。が、今回は本文をばらす。

 天のノド際(〇の辺り)を掴んではがし、後は天地方向に揺すりながらはしていくが、1枚だと破れる恐れがあるので、3・4枚ではがして、それを注意深く1枚にするのがよい。
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 全てばらして揃えた。
 この細かい凹にボンドを入り込ませ、一冊にまとめていたことがよく分かる。
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 細かいカケラやボンドカスを綺麗に掃除する。

 丸背の本なので、積み上げるとノド元がイチョウ型に広がっている。
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 背に、僅かの湿り気(=ウエットティッシュぐらいの湿気で背を拭くくらい)を与え、重しを掛けて平にする。
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 背を締め具にはさんだ状態で、ボンドを塗って背を固める。

 背から5mmくらい内に入ったところに、孔をあけて綴じる。
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 今回は四つ目の平綴じ。
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 そうそう、〝 ノド際まで開かなくなるという欠点がある〟と書いたが、欠点はこのくらい。
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 これくらいは目をつぶる。

 この後は、寒冷紗を貼り、クータを付ける。そして寒冷紗を見返しで貼り込む。
 丸背の本が角背になるが目をつぶる。
 ?二度目の目をつぶるだが致しかたない。

 目打ちは鋼鉄の〝叩き目打ち〟が、望ましい。
 プラスチックや木製の目打ちは叩くと壊れることがあるので注意。
 電動ミニドライバー(2mm のドリル)があれば尚便利。上手に探せば、2千円以下で買える。充電式でなければ千五百円というのもある。
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 糸は細めのタコ糸。約0.9ミリ 綿糸5号、約1.0ミリ 綿糸6号、約1.2ミリ 長綿糸8号くらい。 
 長さは本文の天地間の2.5倍くらい必要です。
 糸は穴際で結んで、コブは穴に入れます。
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by ikuohasegawa | 2012-12-18 06:38 | 製本&修理:スキル | Comments(0)

十や十五連休なんて目ではない。三百六十五連休が始まった私。


by ikuohasegawa