厚紙を使う上製本とは別の趣のある装幀になり、詩集や歌集などの穏やかな内容の本作りに適していると思う。
ただし、これは今日的な実用フランス装のことを現していて、本来のフランス装は化粧断ちした糸綴じの中身ではないことが分かった。
フランス装とは、20 世紀中頃まで主にフランスで一般的だった本の販売形態で、ページに傷をつけること無く解体する事が可能です。購入者は自分好みの表紙に装丁したり、別々の本を1 冊にまとめて綴じ直したりと、“自分だけの1 冊” を作る楽しみがあります。フランス装というのは、後で購入者が装幀をしなおすことを想定した簡易製本です。フランスで昔は個人の趣味に合わせて皮装幀をするのがステイタスでした。ですから、装幀をし直すのに都合のいいように、途中まで作った中身に簡単な表紙カバーのようなものでくるんだ状態です。
本の中身は、4か8ページごとに一枚の紙に印刷してあり、それをたたんで端を切ります。これを一折りと呼びます。フランス装の場合は、この時のカットも省いているため、端が輪になっているのです。
〝端が輪になっている〟というのは、下図の ↓ 部分が袋のままだということである。
ステイタスの高い方は装幀しなおすとき三方断ちするが、普通の人は切り裂いて読むことになる。
ペーパーナイフの起源はどうやらこの辺にありそうだ。