言葉

3-139) こけら と かき

 歌舞伎界では看板役者が相次いで亡くなる悲劇に見舞われたが、歌舞伎座の新装もなったことだし元気を取り戻してほしいものだ。その新装歌舞伎座 杮葺落 四月大歌舞伎は27日千穐楽となった。

 千穐楽は千秋楽である。しかし「秋」の「火」が火事に通じるを嫌い、縁起のいい「亀(龜)」を含む「穐(秋の異体字)」を用いたといわれる。

 本題にもどす、「こけら」と読む「杮」は、材木を削ったくずの意。これも「くず」を嫌って葺(ふ)くを加えたのだろうが、元々「杮落とし」は建築工事が終わって杮(こけら)=くずを払い落とすことから、新築後行われる最初の興行を意味するようになったという。
 なるほどと思うが、どうして〝削りくず〟と〝果実の柿〟は同じなのだろう。
 KOKERAで変換すると 柿。 KAKI でも 柿。それで良いのだろうか。

 ひょっとして・・・10や11ポイントでは同じにしか見えないがひょっとして・・・ワードで夫々を入力してフォントのポイント数を上げてみた。

 やはり違う字じゃないか。
3-139) こけら と かき_d0092767_584165.jpg

 木偏は同じ。図の左側の〝こけら〟の旁部は、真ん中の縦棒が上から下まで突き抜けている。
 漢和辞典によると、「ふつ」と音読みし、ひざかけ、まえだれ、の意という。

 図の右側の〝かき〟果物の柿の旁部の上はナベブタ。「京」「交」と同じ。そのナベブタの下に「巾」という字が付いている。木偏に市場の「市」が〝かき〟である。

違う字であることを本日知った。不明を恥じる。

 大修館の『漢語新辞典』は、杮(こけら)の項の最後に
 〔柿:かき〕は別字。杮(こけら)は縦棒を一画で書く。
 と、わざわざ注記をつけているくらいだから、それほど恥じなくてもよいようである。
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by ikuohasegawa | 2013-05-01 07:23 | 言葉 | Comments(0)

十や十五連休なんて目ではない。三百六十五連休が始まった私。


by ikuohasegawa