千穐楽は千秋楽である。しかし「秋」の「火」が火事に通じるを嫌い、縁起のいい「亀(龜)」を含む「穐(秋の異体字)」を用いたといわれる。
本題にもどす、「こけら」と読む「杮」は、材木を削ったくずの意。これも「くず」を嫌って葺(ふ)くを加えたのだろうが、元々「杮落とし」は建築工事が終わって杮(こけら)=くずを払い落とすことから、新築後行われる最初の興行を意味するようになったという。
なるほどと思うが、どうして〝削りくず〟と〝果実の柿〟は同じなのだろう。
KOKERAで変換すると 柿。 KAKI でも 柿。それで良いのだろうか。
ひょっとして・・・10や11ポイントでは同じにしか見えないがひょっとして・・・ワードで夫々を入力してフォントのポイント数を上げてみた。
やはり違う字じゃないか。
木偏は同じ。図の左側の〝こけら〟の旁部は、真ん中の縦棒が上から下まで突き抜けている。
漢和辞典によると、「ふつ」と音読みし、ひざかけ、まえだれ、の意という。
図の右側の〝かき〟果物の柿の旁部の上はナベブタ。「京」「交」と同じ。そのナベブタの下に「巾」という字が付いている。木偏に市場の「市」が〝かき〟である。
違う字であることを本日知った。不明を恥じる。
大修館の『漢語新辞典』は、杮(こけら)の項の最後に
〔柿:かき〕は別字。杮(こけら)は縦棒を一画で書く。
と、わざわざ注記をつけているくらいだから、それほど恥じなくてもよいようである。