文藝春秋連載時に話題になり最近再版された文庫本を読んだ。
書名は『日本の血脈』
面白く読んだが、この作者は全般的に読点が多い。読点の多寡は好みの問題であるが読点が正しくないと語句の修飾関係が理解し難いどころか誤解させる場合がある。読点は多ければよいというものではない。
読み進むと堤康次郎は教壇に立つ。 ほー、教員になったのだ。
違う。早合点。教壇に立つのは若い教授永井柳太郎じゃないか。
少なくとも、この読点は省いたほうが理解がスムーズである。
こういうテーマは山本夏彦氏の指摘を待つまでもなく自慢なのだけど、それを薄めようとして〝以って他山の石と為す〟とかで締めくくって、いかにも自省であるかのように取り繕う。
〝編集者は仕事をしろ〟とか〝著者は校正を編集者に任せきりにするな〟〝読みかえせ〟という罵詈雑言よりはよいけど自慢していることにかわりは無い。
山本や吉田健一の文章は”なれると”力を帯びてきます。