saheizi氏の写真があまりにも旨そうなので(ブログより許可を得ず転載)
「お昼は蕎麦にして。花巻蕎麦。焼き海苔は3枚」と注文を出した。
久しぶりもなにも、前に食べたのはいつだったかさえ思い出せないくらい昔のこと。花巻蕎麦という品書きは、蕎麦屋でもこのところ目にすることは少ない。
海苔が山形屋だったこともあるが香りが良くて堪能した。海苔三枚で海苔三昧。
そういえば、時そばにも出てくる。
屋台の二八そば屋。冬の寒い夜、屋台に飛び込んできた男。
「おうッ、何ができる? 花巻にしっぽく? しっぽく しとつこしらいてくんねえ。寒いなァ」で始まり、お馴染みの「今なん時でえ」とくる。
しっぽくは長崎のしっぽく料理からの流れだろうから、煮た野菜などをかけた蕎麦だと想像がつく。それじゃあ焼き海苔の蕎麦をどうして花巻蕎麦というのか。
「花巻」というのは、
もみ海苔を散らしたかけそばの雅称です。この名の由来は、材料の浅草海苔が「磯の花」に例えられていたことからきています。「花を撒く」から巻くに転じたと思われます。
花巻そばが生まれたのは、江戸・安永年間(1772~81)の頃とされています。上等の浅草海苔の磯の香りとそばの風味、あぶった海苔が汁に渾然一体となって溶け込んだ何ともいえない味。海苔自体が黒光りした、まさに“磯の花”という優美な趣。この香り、味、そして見た目の美しさの組み合わせの妙味が「花巻そば」の魅力です。そばメニューの中でも、粋な種ものの一つといえましょう。海苔の香りを楽しむ為に薬味は使わず、わさびくらいにとどめる。
なるほど。
ざる蕎麦の刻み海苔で腹が立つことが多いので〝もり蕎麦〟しか頼まなくなっているが、花巻蕎麦も同じような運命をたどっているのかもしれない。
海苔が命の花巻蕎麦に湿気たノリを散らしていれば不人気になるのは当然。“磯の香がたつ上等の海苔”でなくては花巻蕎麦ではない。
花巻蕎麦は名店老舗の蕎麦屋でしか味わえぬのだろうな。
あっ、それから、現在マイクル・コナリーは〝ザ・ポエット〟を読んでいます。