いわゆる和装本(四つ目綴じなど)の本文は、墨が裏写りしてしまうので片面使いの袋折りにする。これに対してこの本は、裏写りしない厚手の和紙を用いて両面に書いてある。伝とはいえ、本阿弥光悦、烏丸光広の筆になる書写本なのだから、上等の和紙なのよ。
さらにノド(この本は折り丁の折り目)の二つの穴が二箇所に見えており、折丁を糸で綴じている。
江戸期に、いわゆる和綴以外の綴じ方があったのだ。
撮影禁止の博物館だから写真を写せない。このままでは解らないだろうなー。。
まず、その後調べて分かったことを記録する。
あれは、「大和綴じ」の、表紙をつける前の中綴じだった。
大和綴じは、(日本出版学会 2013年度・第6回出版技術・デジタル研究部会のご案内による)
平安時代から江戸時代にかけて行われた折丁構造を持つ和装本の形態で、よく知られている和本(線装本、四つ目綴じ)の本文紙が袋折りで片面印刷(または書写)であるのに対して、本書の本文紙は比較的厚手の和紙を用いて両面書写される。1本の綴じ糸の両端に針を付けて折丁(括、帖ともいう)を綴じていき、折丁の中央には綴じ糸が2本現れるのである。
『1本の綴じ糸の両端に針を付けて折丁を綴じていき、折丁の中央には綴じ糸が2本現れるのである』っていわれてもなー。イメージが浮かんでこない。
この『綴じていき』と言うところを描くと以下のようになる。
イメージが浮かんだところで手順を書き起こす。
●両端に針をつけた糸を二本使う。
●穴は二個を二箇所。
●折丁の谷(内側)から糸を通す。
●次の折丁を重ね、折丁の山(外側)から内へ糸を通す。
●折丁の内側で、出てきた穴とは違う側の穴にそれぞれ針を入れる。
●糸はクロスして二本の横糸になる。以降の折丁はこの繰り返し。
●綴じを終えたら、二個の綴じ穴を隠すサイズの『角布』をつける(下の写真の背部分を参照)
●穴をあけ表紙を付ける。編紐や房付き紐などを用い高級感を出す。
現在、市販されているものでは、芳名帳や家系図帳など高級感を重んずる本に使用しているようだ。
手が込んだ細工ですね。
フランス綴じの本なんてお洒落で素敵ですよね。