重箱の隅をつつく

3-597) 自縄自縛そして自業自得

過日の編集手帳を切り抜いた。
常々、手帳氏の連日のコラムには驚嘆している。しかし、毎回深い感動や共感、絶妙なヒネリに思わず「上手い」という訳にはいかない。
この日の稿は好みに合った。偉そうだが最近の中では出色の出来栄えだと思う。

この日のネタは、
「編集会議」と称して校長などを集め、検定中の教科書を見せては謝礼を払っていた三省堂。

その三省堂を突くのに、引用したのが三省堂の人気辞典『新明解国語辞典』
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新明解から引いたのは【必要悪】【世間知】
とくに【世間知】学校では教えてくれない種類の常識
「いくら教科書の出版会社でも、怪しい世間知まで実演指導で教えてくれなくてもいい」と皮肉られている。
面白い。しかし、よく見るとコラムの約半分は引用文だ。
結局、新明解の語釈が肝だ。そこから【必要悪】【世間知】を選び出したところがお手柄と言えるだろう。


『新明解国語辞典』の特徴ある語釈は、まるでこの日があることを予見していたかのよう。しかし山田忠雄先生も三省堂が自縄自縛のような仕儀に至るとは思ってもおられなかっただろう。

三省堂をからかっているだけでは済まない。
自縄自縛と言って浮かんだ?のが「先生」のネタ。

本の修理講座で説明役を担当するとき「先生」と紹介される。
「先生」は面映ゆいので「一番声が大きく、時々面白い私が務めます」とことわりを入れるが、少し誇らしく嬉しい。
一方で「先生と言うわれるほどの・・・・」が浮かんで不安がよぎる。

こんなことを書き始めると三省堂をからかっているだけでは済まない。 本当に自縄自縛に陥るが、すすめる。

新明解の せんせい【先生】
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ほら、出た。
運用: 「先生と言われるほどのばかでなし」という成句があるように、必ずしも先生と呼ばれるにふさわしくない人に対して、その自尊心をくすぐるために、また、軽い侮蔑・からかいの気持ちを込めて用いられることがある。

確かに自尊心はくすぐられる。

とどめは「軽い侮蔑・からかいを込めて用いられる」と書かれては、まさに自縄自縛。
先生をひいたことが自業自得。

でもなあ、「私は先生ではない」とか「◯◯説明役と呼びなさい」というのも妙だ。
甘んじて?「先生」を受け入れようと思っている。

俗物と言われようとも、自尊心をくすぐられると良い気持だもの。







Commented by nicoru1nicoru2 at 2015-12-15 05:18
ボランティアでは先生と呼ばれています。
教室の中では平気ですが、街中をエスコートしているときは、面映く、背筋が伸びます。

このコラムは切り抜いて「不要不急メモ」としてストックしてました。
Commented by saheizi-inokori at 2015-12-15 08:40
学校では教えてくれない、落語家が吉原のことをしゃべるときのくすぐりを思い出します。
Commented by ikemoto04lp at 2015-12-15 09:22
いやいや、そう照れなくてもいいですよ。
 は氏の場合は、実際に教えているんだから、先生でいいと思いますよ。

普通は、先生と呼ばれて真に受ける人はいません。
 国会中継では、麻生さんが質問議員をさかんに「先生、先生」と呼んでいますが、あれは絶対に計算ずくで、私には相手をおちょくっているようにしか聞こえません。安倍さんなんかは必ず「さん」づけですもんね。
 ひょっとして、読み間違いが得意の麻生さんとしては、相手の名前を間違えそうになるからかなあ。

この日の『編集手帳』では、私は「吾日に吾が身を三省す」という例の言葉を思い出しましたが、あの三省堂にしてかと思いました。
 猛省を促がしたいですね。
Commented by ikuohasegawa at 2015-12-15 10:09
古武士ヒロ君
目を付けるところは同じなのです。
Commented by ikuohasegawa at 2015-12-15 10:15
Saheiziさん
落語からは「学校では教えてくれない」折々の風情を教えてもらいます。
Commented by ikuohasegawa at 2015-12-15 10:16
アルチュさん
三省堂は社名変更。猛省堂。
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by ikuohasegawa | 2015-12-15 04:39 | 重箱の隅をつつく | Comments(6)

十や十五連休なんて目ではない。三百六十五連休が始まった私。


by ikuohasegawa