製本&修理:スキル

3-970) 小学校本の修理(平綴じ注意事項)

本文脱落のアジロ綴じの本を、まとめて修理にかかった。
アジロ綴じ(製本用語集より)
無線とじが中身の背を削り落とし糊を塗布するのに対し、アジロとじの場合は折り工程で折丁の背の部分にスリッターで切れ目を入れておき、中身の背を切り落とさずに糊を塗布する。糊ローラーで接着剤(ホットメルトが普通)を塗布し、背の部分のアジロ穴に接着剤を浸透させ、折本の中身の1枚ずつが接着されることにより、綴じたものと同様の効果がでるようにする。
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綴じたものと同様の効果がでるようにする」と言っても、それは製本業者の言い分。
読書頻度の高い図書館、学校の蔵書は本文が束で脱落することがしばしばある。
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修理に回ってくる本は接着剤全体が劣化している。それゆえ修理に来るのだから、その抜け落ちた本文の束をボンドで接着しても次は他の部分が抜け落ちることになる。
それを防止するため本文のノド際に穴をあけ糸で綴じるようにしている。

6冊あるから、どんどん接着し、どんどん見返しをはがし、どんどん穴をあける。

穴あけで一冊失敗した。
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見返し(遊び紙)にまで穴をあけたことに気が付き「あっ」

ゴルフのパットで強く打ち過ぎたと思って「あっ」と声を上げたボールがホールインしたときは、良かった良かったで済むけれど、本の修理の場での「あっ」は皆の視線を集める。

しょうがないから「これこれこうで、見返しまで穴をあけてしまった」と事情を話し「よく注意しないとこういうことになるから気を付けましょう」と訓示を垂れるよりしょうがない。

そういえば、この前の修理(磯子図書館)のときにも見返しに穴をあけて「あっ」と声を上げた。いかんなあ。


本文の方は復活したが
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見返しを突き抜けた穴は埋められない。申し訳ない。

教訓:むやみに「あっ」と言わないようにしましょう。
ウウン?これはゴルフのパットでの教訓。

本の修理の教訓はそっちではなく「手慣れた作業をするときほど注意を払いましょう」だ。


平成28年の本の修理はこれにて終了。





大修館HP 漢字Q&Aより
Q:「穴」と「孔」とは、「穴」はへこんでいるだけ、「孔」は突き抜けているもの、という違いがあるという話を聞きましたが、ほんとうですか?

A:一般的に言って、たしかにそのような違いはあるようです。小社『明鏡国語辞典』の「あな」というところを調べると、突き抜けている「あな」の場合には「孔」が好まれる、というようなことが書いてあります。
「ごみを穴に埋める」「穴があったら入りたい」に対して、「針の孔」「靴下の孔」というわけです。

しかし、それはあくまで慣用であって、必ずしも、漢字の本来の意味に基づくものだとは言えないようです。と言うのは、漢和辞典を調べると、「穴」の方にも「突き抜けているあな」の意味があるからです。

たとえば、中国の古典『孟子』に基づく、「穴隙(けつげき)を鑽(き)る」ということばがあります。家の壁や垣根に「穴」を作ってのぞき見をすること、転じて、男女関係が乱れることを意味する慣用句です。この「穴」が「へこんでいるだけ」だと、いくらのぞいたって見えるのは闇ばかり。男女関係の乱れようもありません。
こんな例からも、「穴」と「孔」の使い分けは、あくまで慣用的なものであることがわかるでしょう。

なお、現在の「常用漢字表」では、「孔」には「あな」という訓読みを認めていません。
そこで、この表に従うとすれば、「あな」と読むのは「穴」だけということになります。実際、「靴下の孔」よりも「靴下の穴」の方がしっくりくる、という人がいるのは、そのせいです。

Commented by ikemoto04lp at 2016-12-22 09:48
そう言われてみると、KS会でも「あっ」と言ってカップインする人をよく見かけますね。
 私の場合、いつもお姫様パットでショートばかりですから、「あっ」と叫ぶことはありません。
Commented by ikuohasegawa at 2016-12-22 16:41
アルチュさん
前回は下りのパットで「あっ」の連続。学習出来ない私でした。
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by ikuohasegawa | 2016-12-22 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(2)

十や十五連休なんて目ではない。三百六十五連休が始まった私。


by ikuohasegawa