キハラのビニダインを使って修理をしている方から質問をうけた。
「ビニダインとB-1ボンドはどっちが良いですか」
どっちが良いかと言われても即答できない。
まず、かつて一瓶使ったことのあるビニダインをキハラHPにて調べた。
図書館用製本接着剤として開発された酢酸ビニール系の接着剤です。
ビニダインは紙類の接着に、ラッキーセメントは、ビニールレザーやビニール系の表紙などと紙クロス、布クロスとの接着に最適な樹脂分の多い接着剤です。
ビニダインはPH5~6、ラッキーセメントはPH4~6の弱酸性(PH7が中性)。
外装用ラッキーセメントより、本文修理(紙類接着用)を想定したビニダインの方が少し中性に近い。
価格は1㎏約1700円程度。
ボンドB-1の特長は「接着層強靭で柔軟性」と記載あり。
PHは弱酸性~中性(4.5~7.0)。
価格は3㎏2400円(1㎏800円)くらい。
木工用ボンドは、酸性~弱酸性(PH3.0~5.0)。1㎏大体500円。
※写真は児童用ですが業務用でも成分は同じです。
このほかに、一度も使ったことが無いPH7の中性ボンド(社は「無酸性のり」と言っている) ブックッグルー(フィルムレックス社)もある。
特長は本の修理・製本用無酸性のり 乾いた後も弾力性があり、経年劣化に強い商品です。
価格は格段の1㎏4300円。
以上を表にまとめると
我々が修理する本は古文書貴重資料ではない。よって、中性であることを選択の基準にする必要性は薄い。
一般に閲覧される本であるから修理後の強度は要求される。
高額な材料は避けるのが妥当。
使った感触ではビニダインとB-1ボンドには差が無い。
よって、私はB-1ボンドをお薦めします。
B-1ボンドは
PH5~7は弱酸性~中性。
接着層は強靭で柔軟性あり。
3㎏2400円(1㎏800円)とコストパフォーマンスも良い。
難点は業務用(3㎏入り)しかなく小分けが必要なこと。