小学校本の修理日。
司書さんが真面目な面持ちで「お話があるのですが」
お話があるなどという切り出しは、これまでの人生経験では大体、ほとんど、宜しくないことが多い。
人間関係で悩んでいるとか、司書を辞めたいとか言われると厄介だ。
とりあえず「どうしたの」と受けた。
予想に反して、栞ヒモの話だった。
なんだ、栞ヒモかよと気楽になった。
この時点では、後になってあれこれ真剣に考える状況になるとは思いもしなかった。
図書委員の児童が「栞ヒモがない本は読みにくいので、栞ヒモを付けた」と本を持ってきたとのこと。
キラキラしたテープをデザインテープで表紙裏に付けてある。
いかにも女子児童らしい仕上がりである。
「栞ヒモがなくて不便に感じるほど本を読んでいるんだね。嬉しいね」と、預かった。
私には、栞ヒモを自作した経緯があるので、ほら、不便なのだ、やっぱりねえ。
それなのに、図書館の栞ヒモが端から付いていない図書のことは全く考えたこともなかった。虚を突かれた。
確かに児童書にはハードカバーの本でも、栞ヒモを付けてない本が結構な数ある。
もちろん、これまでの修理でも欠損した栞ヒモを付け替えてはいたが、突かれた虚は大きい。
全冊に栞ヒモを付けることにすると・・・と、大人の事情が頭をよぎる。
とりあえず児童手製の栞ヒモを点検。
ウラ表紙の裏側に付けては、使うときにかかる力が剥がれやすい向きにかかる。貼る場所を見返し側に移した方が外れにくくなる。とりあえず修正してみた。
で、今後どうしたものか。
継続的仕様にするなら極細のリボンを使った方がよかろう。極細のリボンテープは手持ちを提供できる。
図書委員の気づきと工夫を大事にしてあげたい。
全冊をしおりヒモ付きにすることは、やぶさかではない。
しかし、大変な冊数になりはしないだろうか。
しかし、学校図書館の司書、ボランティアの活動の域を越えるような気がする。
しかし、あの個所に栞ヒモを付けることは正しい処置なのだろうか。
しかし、しかし、と大人の事情が頭の中をよぎる。
「しおりヒモホルダー」という訳にもいかない。
あれやこれやと呻吟して行き着いたのが、栞ヒモからは離れるけれど、しおりの手作り。
幸い取り置きしているブックカバーが相当数ある。カバーはコーティング用紙で色彩も豊か。それをカットして「しおり」を作るというのはどうだろう。児童図書委員も参加。
いっぱい出来上がったら貸出しカウンターに置いて、挟んで貸し出す。本屋さんのようだ。
栞は帰ってこなくても良いではないか・・・名前を書けるようにするという手もある。
取り急ぎサンプルを。
一番左は寸法(70×100)でカットして山折したところ。これで厚みも増し両面カラーになる。
スティックのりで貼り合わせてパンチで孔をあけ、リボン(150㎜)をつける。
次回、修理に出向いたとき、司書さんに切り出してみよう。