「らくだ」を最後までやるつもりで、もう一つは短めの「黄金の大黒」にしたけれど私の大黒は短いのよ。本当に短いからもう一つ「やぶいり」をやります。(大拍手)「やぶいり」は初ネタ。これまでやったことが無く一年前から覚えはじめて、完成するのはあと半年くらいかかるが、今日、やらせてもらいます。(大拍手)お帰りは5時を過ぎると思います。(大拍手)
「ここは火屋(ひや)だ」
「冷酒(ひや)でいいから、もう一杯くれ」
ここまで聞いたのは初めてだと、Chiも大喜び。確かに長い噺だ。
若いお客さんに通じないネタは演じなくなるし廃れていく。「へっつい幽霊」 なんていうのは全くわからないし「野ざらし」も今日やる「やぶいり」もだんだん通じなくなっている。藪入りというのは、奉公に出された小学一、二年の子供が三年間・・・、鼠の懸賞というのは・・・。
※幽霊の辻(Wikipedia)
預かった手紙を「堀越村」に届けるために歩いている男は、道に迷って、見知らぬ峠に入り込んでしまう。日が暮れかかり、急に心細くなった男は茶店を見つけ、顔を出した老婆に堀越村までの道のりを尋ねる。
道を説明する老婆が言及する地名や道しるべは、「水子池」「獄門地蔵」「父追橋(てておいばし)」といった、不吉なものばかり。男が思わず由来を尋ねるたびに、老婆は人の死にまつわるそれらの由来を恐ろしげに語って聞かせ、「池の横を通るたびに赤ん坊の泣き声がし、人を引きずり込む」「地蔵の首が飛びまわって人に噛みつく」などと、それぞれの場所で怪奇現象が起こることを男に教え、ちょうちんを貸す。
男は池を半狂乱になりながら通過するが、結局声などしなかった。地蔵の首も飛ばず、橋でも何も起こらなかった。男はそれでも恐怖感がおさまらず、たまらず駆け出すと、峠の交差路「幽霊の辻」の「首くくりの松」の陰から飛び出してきた若い娘と鉢合わせになり、思わず叫び声をあげ、失神しそうになる。
「何を怖がっておられるのですか」「てっきり幽霊かと思ったじゃないか」「私を幽霊じゃないと思っているの?」
娘の姿が、スッと消えた。
3代目柳家権太楼は、上記の展開のあとに「お客さん、お化け屋敷の出口はあちらですよ」と言う係員を登場させ、実はお化け屋敷が舞台であった、というサゲにしている。
学校の道徳に「藪入り」でも聴かせたい。
同感です。教育勅語を持ち出すより落語を聴かせる方が徳育になります。