年末年始のタイムリーネタに押されて、更新するのを忘れていた12月27日の修理「カラスの補習授業」を覚えとして更新します。
これだけ束(ツカ=厚み)がある無線綴じの本は割れて当然といえば当然。
包(くる)んである表紙用紙で、かろうじて断裂を免れているだけだ。
400p=200枚の単票の背を綴じ材を用いずに接着剤により一体に接合し、表紙も接着剤で本文と接着している。
接着剤を信用したのだろう。でも、背割れしたんだよねー。
本文の背を露出して修理することになるこの修理は、ちょいと厄介なことになりそう。
見返しを本文から剥がし、背にベタ付けの表紙用紙を慎重に剥がし背を出す。
出した本文の背に付いている表紙用紙と接着剤は剥がさない。
というより、剥がそうとして手を付けたが諦めた。接着剤というより少し軟性のある樹脂だもの。
それに背割れした一か所以外は堅牢そのものなので剥がさなくてもよいと判断。
割れて断裂した背をつなぐには、背に切れ目を入れてタコ糸で補強し寒冷紗を貼る。
本文用紙の背に切れ目を入れるためには樹脂層を通過しなくてはしけない。ところがノコギリを使い始めたら、樹脂屑が摩擦熱で刃にくっついてしまい途中で鋸が引けなくなった。
何度か試みたが諦めて、カッターナイフで樹脂層を切り取りミゾを作った。
樹脂層の厚さは約3~4㎜。
その下の本文背に切れ目を付けタコ糸を入れる。
昨年度はこれにて終了。タコ糸入れは持ち越しとなりました。
追記:これで背割れによる断裂は避けられるが、背割れは復元できない。
だって、割れたところ以外は依然として堅牢強固な樹脂板(状)なのです。二つに割れた板は接着できません。
分離することを防止するだけです。
年明け第一回目に修理完了しております。
でも、見開きを水平に開こうとしてグイっと押すと、また、背割れします。これはそういう製本なのです。