手作り製本の会、今回の取り組み課題は徒然草。
単票(両面印刷)を平綴じして洋装本に仕上げる。
M山さんは、印刷、背固め、穴あけ、平綴じ、シオリ紐・花布付け、見返し付けまで進んでいます。
この後、丸背にするなら丸くしてバッケを出し※て、寒冷紗を貼り、クータを付けて表紙と合体。
※バッケ出し:丸み出しの英語「バックラウンディング back rounding」か訛ってバッケになった。
バッキングbacking:本の中身の背の丸み出しを行ったのち、中身の背の形を整え耳を出す作業。諸製本では手機械と耳板で中身を締め、ハンマーで叩いて手工的に行う。耳の大きさは手機械で締めつけてはみ出している長さになる。表紙に使った板紙の厚さを目安にする。耳出しの目的は、表紙付けしたあと本の開きをよくするだけでなく、小口が前へ飛び出すのを防ぐ。角背上製本の場合も同様の工程を経て耳出しする。「丸み出しバッキング機」があり、上製本ラインに組み込まれている。
平綴じ仕上げですから糸綴じ本のようにノド際まで開くことは出来ません。
それを見越して、面付けの段階でノド側の余白を広くとって頂いたので、文字が読めないということはありません。
「痛ててて」とは申しませんが、「これ以上の開脚は無理」と、本を閉じようとしますから、ずーっと押さえていなくてはなりません。そこが平綴じ製本の限界なのです。折丁面付けができない洋装本の宿命です。
全面開脚できる糸綴じで仕上げるためにはペラ(2ぺージ)丁ではなく、8・16ぺージで折丁になるように印刷しなくてはならぬ。我が製本の会は前作の「方丈記」を最後にそれができぬことになった。諸般の事情あり、ということです。
「ペラ丁を平綴じで洋装本に仕上げましょう」という課題だったのに、
「ペラ丁を
和装本に仕上げました」という一冊。
お好きなようにしていただいて結構ですが、
「にぎり寿司」を作りましょうという料理教室で「私はちらし寿司をつくりました」というようなものですね。
ちらし寿司がお好きなら、それで構いません。