本の開き方の種類は
タイトバック=本文と背が密着している。開きづらい。文庫本など。
ホローバック=本文と背が密着していない。開きやすい。ハードカバーの単行本など。
さらに開き易くした広開本というのもある。
製本の引き出しより
本文の背のみで無く、表紙のノド際も接着しないで広く本を開けるようにしている。
片側だけに処置した公開本もある。
背に大きくゆとりを作ってあるから全開する。
その片側広開本仕立ての絵本が修理にまわってきた。
本文は貼り合わせ製本で、見開き2ページをセンターで谷折りして隣り合う裏面を貼り合わせている。
図のように2枚貼り合わせ(赤線は接着剤)なので本文用紙は丈夫なのだが、折り目の部分は一重。
そこが裂けて背割れしている。
表面からクリアテープでつないでも文字通り糊塗するだけに終わる。ここは本文の背側からも補強する必要がある。
クータを入れて本文背に貼ることも考えたが、本文側まで広がっている広開本処置の部分が処理しきれない。
下図で背が露出しているのはオレンジ色の見開きが裂けているからで、ここを復旧するためには別の個所、例えば見返しの遊び紙を剥がすとかで背を出したい。
とは言え、表紙の裏は直接本文が貼ってあり見返し用紙は無い。
製本の手順をさかのぼるなら貼り合わせてある表紙と本文を剥がさなくてはならないが、できるはずがない。
しばしにらんで、出した修理法は1ページと2ページの見開きのセンターをカットし背を出すというもの。この絵本はこうしないと背割れを直せない。
背割れをボンドで固めオーガンジーリボンで補強。
その上で、割れていたノドにクリアテープを貼る。
裂け目の傷を彩色すれば良かったが後の祭り。
この後は、背を出すために私がカットした見開きのセンターを修復する。
これは次回。