ハサミや事務用ペーパーカッターの刃は触っても指が切れるほど鋭くありません。
それらは、刃と刃が交差する点にハサミを閉じる力がピンポイントで集中し、なおかつそのポイントが移動していくことで対象を切っています。
要は2つの刃先がいかに密着しながら擦り合うかという構造精度が重要で、刃の鋭さは二の次なのです。それゆえ児童用ハサミもあるのです。
一方、断裁機は一枚刃を垂直に下ろし真っ二つにします。
ハサミが点で切り分けていくのに対し断裁機は線で一刀両断ですから、刃は鋭くないと切れません。
磯子図書館の断裁機の刃が研ぎ上がって戻ってきました。
「刃が来ました」という連絡も無く、断裁機の横に普通に置いてあります。
置いておくと修理ボランティアの人が取り付けてくれる。という自然の流れができています。
長年のうちにそういうことになっていますし、図書館も私も異存はありませんから担当いたしました。
毎年のこととは言え緊張します。
研ぎ上がったばかりの刃は鋭さを増している。触れれば確実に怪我をします。重いので扱いづらく思う以上に動いてしまうので、革の作業手袋ごと斬られるのではないかと冷や冷やします。
慎重に取り付け試し切り。
水平調整して試し切りを数回繰り返してOK。
じっくり見たら断裁機の刃の降り方は垂直ではありませんでした。
刃の水平を保ちながらカットライン上をわずかにずれながら(斜めに)降りています。
包丁を使う時、押し切るのではなく『手前に引いたり、奥に押したり、前後に動かすときに切れる』というのと同じ原理です。