パックリとノドが割れた本。
無線綴じ(本文を接着剤で固める)本の場合、多くの修理テキストでは
「本文を表紙から外して、
本文の背にノコを引き切れ目にタコ糸を入れ補修し(当然ここは詳述)
元通り表紙にもどす」
という記述が普通だ。
ところが、本文を表紙から外すこと、元通りに戻すのが結構厄介な作業になり簡単ではない。タコ糸を入れる作業より難しい。
ならば、本文を表紙から外さないで修理をする方法を二つ。
(1)クータを入れる
ボンドカス、ゴミを除きキレイにして
⓵寒冷紗※でクータを作り背表紙の裏に貼り付ける(多目のボンドでしっかり)
※寒冷紗(背の補強)+クラフト紙のクータを、寒冷紗のクータで兼ね強度を保つ。
②貼ったクータにボンドをぬり本文をもどし接着する(多目のボンドでしっかり)
⓷背を圧着し、ゴムバンドなどで締めつつ乾燥させる
⓵見返しの遊び紙をノド際までめくる。ウラ表紙側も同様にめくる。
分解して修理するのではないから、はがすのはノド際まで。
②表紙と見返しの遊び紙を逆方向に(写真の赤い線方向)に折り開く。
(1)ドリルを使わない。元に近い状態に修理できるが、後日再修理する場合がある。ボンド量が多すぎると本文内にボンドが侵入すること有り。雑な扱いには弱い。
(2)本を分解しなくて済むがドリルを必要とする。ノド元が開けない。強固。
学校図書館の修理に適する(2)を実習してもらいました。
さっそくやってみましょう。
そうそう、そうやって垂直に穴をあけます。
糸で綴じて見返しを貼り戻します。
1台は図書館配備───かつてS口さんに寄贈して頂きました───のもの。
今回、新たにもう1台寄贈頂きました。
これで2台。
私は手持ちの1台に加えて新規購入の1台を持参。
今秋、信州御代田のコメリで6800円という超特価を見て衝動買いしてしまいました。
次週の修理講座中級の②は糸綴じの実習をします。