製本&修理:スキル

5-126) 背割れを平綴じする・学校図書館修理講座

11月19日、修理講座中級の⓵は平綴じの実習を中心に実施しました。


パックリとノドが割れた本。
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糸綴じた本は糸で綴じなおすのが修理の基本。(この場合は背を出さないと綴じられません)

無線綴じ(本文を接着剤で固める)本の場合、多くの修理テキストでは
「本文を表紙から外して、
本文の背にノコを引き切れ目にタコ糸を入れ補修し(当然ここは詳述)
元通り表紙にもどす」

という記述が普通だ。
ところが、本文を表紙から外すこと、元通りに戻すのが結構厄介な作業になり簡単ではない。タコ糸を入れる作業より難しい。

ならば、本文を表紙から外さないで修理をする方法を二つ。
(1)クータを入れる
   ボンドカス、ゴミを除きキレイにして
  ⓵寒冷紗でクータを作り背表紙の裏に貼り付ける(多目のボンドでしっかり)
   寒冷紗(背の補強)+クラフト紙のクータを、寒冷紗のクータで兼ね強度を保つ。
  ②貼ったクータにボンドをぬり本文をもどし接着する(多目のボンドでしっかり)
  ⓷背を圧着し、ゴムバンドなどで締めつつ乾燥させる
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(2)平綴じする
  ⓵見返しの遊び紙をノド際までめくる。ウラ表紙側も同様にめくる。   
   分解して修理するのではないから、はがすのはノド際まで。
  ②表紙と見返しの遊び紙を逆方向に(写真の赤い線方向)に折り開く。
  ③本文にドリル(2mm)で穴をあける。
  ④太い糸で平綴じする
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(1)と(2)の比較比
(1)ドリルを使わない。元に近い状態に修理できるが、後日再修理する場合がある。ボンド量が多すぎると本文内にボンドが侵入すること有り。雑な扱いには弱い。
(2)本を分解しなくて済むがドリルを必要とする。ノド元が開けない。強固。

学校図書館の修理に適する(2)を実習してもらいました。

さっそくやってみましょう。
そうそう、そうやって垂直に穴をあけます。
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あけた穴に目打ちを刺しズレないように固定しています。


糸で綴じて見返しを貼り戻します。
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電動ドリルをテーブル数分の4台集めました。
1台は図書館配備───かつてS口さんに寄贈して頂きました───のもの。
今回、新たにもう1台寄贈頂きました。
これで2台。

私は手持ちの1台に加えて新規購入の1台を持参。
今秋、信州御代田のコメリで6800円という超特価を見て衝動買いしてしまいました。

次週の修理講座中級の②は糸綴じの実習をします。



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by ikuohasegawa | 2019-11-21 04:00 | 製本&修理:スキル | Comments(0)

十や十五連休なんて目ではない。三百六十五連休が始まった私。


by ikuohasegawa