一、年長者の言うことに背いてはなりませぬ。
二、年長者にはお辞儀をせねばなりませぬ。
三、うそを言うてはなりませぬ。
四、卑怯な振る舞いをしてはなりませぬ。
五、弱い者をいじめてはなりませぬ。
六、戸外で物を食べてはなりませぬ。
七、戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ。
ならぬことはならぬものです。
最年長の座長が一つ一つ読みあげ、座員はその都度「はいっ」「はいっ」と頭を下げて拝聴する。「お話」がすむと、座長は「何か言うことはありませぬか」と、昨日「お話」に違反したものの有無を問いただします。違反した者があると、相談し制裁を加えます。
制裁は、ごく軽い無念・・・みんなに「無念を立てなさい」と命じられる。「無念でありました」とお辞儀をし心からわびます。以下、しっぺい・手炙り・雪埋めと続き,一番重い絶交まで制裁はあります。子供心に一番怖かったのは「お話」の後の審問でありました。 会津戊辰戦争・平石辧蔵著より
藩校入学前の六歳から九歳の子供が、
「・・・なりませぬ」 「はいっ」
「・・・なりませぬ」 「はいっ」
「ならぬことはならぬものです」 「はいっ」
「無念をたてなさい」 「無念でありました」
情景がありありと浮かぶ。 辞儀をしてわびる姿を思うと、オジサンは目頭が熱くなってしまいます。
「無念をたてなさい」
「さくじつ、きんのすけどのをいじめました。無念でありました。」
無念が心にしみわたる。
きんのすけの心にも、皆の心にも無念がしみわたる。
いじめはあっても、コノ程度で終わる。いいねー。
「無念をたてなさい」
「さくじつ、さくらどのと、はなしをいたしました。これが無念でありましょうか。」