カテゴリ:製本&修理:スキル( 163 )

4-506) 豆絵本の製本手順を確認

小学校の修理メンバーに豆絵本「しば君のぼうけん」を作ってもらうにあたり作り方の手順を確認する。

本文用紙を見開き1枚ずつに切り出す。
このとき、いきなり短冊状に切り離すと次にカットする目印のトンボが無くなる。
周囲を残して切れ目を入れ、次の直角方向カットで切り離します。
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切り出した本文を内折り(印刷面を内側)で二分の一に折ります。表紙用紙は後述。

内折りVの外側(無地面)の小口10ミリとのど側10ミリにスティックのり(以下のり)を塗り、貼りあわせる。
このとき、小口と天もしくは地を揃えて、サイズの誤差は背と地もしくは天に出す。
(背は内部になり誤差は見えなくなる。一辺に誤差を集め醜いようなら最後にカットする)
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束になった本文の背を寒冷紗で補強する。
寒冷紗のサイズ。縦は本文天地より少し小さ目、横は5ミリ+本文の幅+5ミリ。
注:普通サイズの絵本の場合は可動域を確保するために、寒冷紗の上からクータを貼るが豆絵本なので省く。

この本文の束を外側からくるむ表紙は外折りにするが、本文の厚みがあるので型に現物合わせで折る。
このときオモテ表紙とウラ表紙の絵がそれぞれ極力中央になるように位置を定める。

本文の小口10ミリと、のど側10ミリにのりを塗り表紙のに接着します。
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最後に本文より飛び出している表紙の小口をカット。
天地小口の不揃いはカットするか、紙ヤスリで調整できるが・・・自信がなければ手作りの味わいと、そのままも可。

この製本はお子さんやお孫さんが描いた絵・・・サイズが同じなら、を一冊にまとめるときにも使えます。


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by ikuohasegawa | 2018-03-15 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(0)

4-341) ノリひき紙を使いましょう

本年も今日一日となりました。

さて、ページ外れの修理は外れたページのノド際に約3ミリ幅でボンドを塗り貼り込む。
(注:絵や図が見開きにわたってある場合は、絵や図を生かすため専用和紙テープや専用クリアテープを使います)

そのときは、敷き紙と「ノリひき紙」を使ってボンドは筆で塗り広げ、接着ラインを直線にしなくてはいけない。
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さすが暮れですね新聞折込物も正月関連。


外れたページの上にあるのが「ノリひき紙」。下に敷いてある赤い宝船の紙が「敷き紙」です。


ノド際に容器の細口から直接ボンドを流し込むこともあるが、そのときも「ノリひき紙」と筆を使って塗布ラインを直線にしなくてはいけない。
筆と「ノリひき紙」を使わないことが進歩か工夫したかのように思えても、それは錯覚です。

どんなに細口の容器でもボンドは均等に出ない。
始めはぐっと出て徐々に少なくなり、また力を加えるのでぐっと出て、このくり返しになる。
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この状態で圧着すれば、ボンドの大きく広がる個所が出来て版面側に侵食する。かつ、接着ラインは凸凹になってしまう。ボンド容器の細口を過信してはいけない。
「ノリひき紙」と筆を使ってボンドを均一にのばし塗布ラインを直線にしなくてはいけない。

また「ノリひき紙」は使い回しせず一回で廃棄すること。

チラシ広告などを短冊状に切って使うが、ひとり修理で連続して「ノリひき紙」を使ったとき思いつきました。
チラシを切って束にしておくより、無線綴じ(接着剤固め)のカタログ誌を寸法で断裁しておく方が始末が良い。一冊にまとまっていますから。
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この一年も有難うございました。

それでは皆さん、良いお年をお迎えください。













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by ikuohasegawa | 2017-12-31 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(8)

4-335) 薄い本文を表紙に接着する

プレス機にクリスマスリース。
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ええ、私は敬虔なクリスマス教徒ですから。


さて、再修理に来た小型絵本・汽車のえほんシリーズの「ダックとディーゼル機関車」
前の修理では、綴じなおした後、背に貼った寒冷紗の羽を見返しで押さえて結合していた。
その、寒冷紗から本文が脱落しての再修理である。

前の修理の寒冷紗などを取り除く。

表紙の外にカバーがかかって、その上からブッカーで保護してあったので気付きにくいが、表紙のミゾ部分が裂けていた。
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前の修理の綴じなおしは完璧で、どなたの手になるものか確認したいくらいの仕上がり。
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堅牢で美しい。
ただし、表紙との結合が弱かったようだ。

こういう薄い本文を表紙と結合するときは、前に試みた薄い本文を表紙に接着するを施すべきだ。
背に貼った寒冷紗を貼り込むとき、羽に切れ目を入れて羽と表紙に交互に貼るというのがその結合方法。
今回はさらに和紙で本文を補強した。

下図の橙色が補強の和紙。
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立ち上げた寒冷紗(緑色)を本文に直接貼ったとき部分的にかかる力を、本文用紙全体に分散して受け止めることになる。









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by ikuohasegawa | 2017-12-25 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(4)

4-330) 無線綴じのハヤカワミステリーを修理する③

ハヤカワポケットミステリーの修理。

綴じなおした本文を長持ちさせるためにクータと寒冷紗を入れたい。
さらに付加した寒冷紗を隠すために見返しを足したい。
同書は並製本なので見返しは無く、本文を柔らかい表紙で包んでいるだけです。
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問題なのは元の製本時に無かった物を加えると、その分本文が大きくなって表紙から小口がはみ出すこと。
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その対応としてオモテ・背・ウラと一連になっている表紙を切り離し表紙を大きくする。
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本書の場合は、はみ出しが少ないのでウラ表紙にのみスリットを入れた。

間に布テープを足し、表紙と本文の小口を揃えた。
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スリット保護のため全体にブッカーを掛けなおしました。
 
かくして、並製本の修理ながら見返し付きフォローバックで仕上げました。
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ノドの奥に背に渡した糸が点々と見えます。





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by ikuohasegawa | 2017-12-20 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(8)

4-326) 日本版ペーパーバック・ハヤカワミステリーを修理 ②

ハヤカワポケットミステリーを修理する。
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本文全体を「包み表紙」表紙から外す。

元の接着剤の上にボンドを重ねても接着効果は期待できないから、普通なら元の固化した接着剤を苦労して剥がす。ところがこの冊は楽々板状に剥がせた。まるでプラスチックの板。
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露出した背には切れ目が入れてあったが浅い。
剥がした板状接着剤にそれと対になる筋も見てとれる。
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この程度では本文の単票はまとめきれぬ。接着剤そのものは強固でも接着力は限定的だったと言わざるをえない。

強固に接着するための手順は、
本文用紙を揃えズレを防ぐ帯を掛けて固定板ではさみ、荒目のヤスリで背を荒らす。
荒目のヤスリを使うことで紙に凹凸が出来、新しく塗るボンドの付きが良くなる。
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さらにのこぎりで深め(3‐4mm)に目引きをする。
糸を渡して接着し、背全体もボンドで固める。
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つづく。







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by ikuohasegawa | 2017-12-16 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(5)

4-324) 日本版ペーパーバック・ハヤカワミステリーを修理

ハヤカワポケットミステリーは確か小口天地を黄色く染めていたはずなのに、それさえ見えぬほど激しい紙面の黄変。
海外のペーパーバックを意識した装幀製本とはいえ、劣悪な紙質まで真似たのだろうか。

これでも2006年版である。
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この「真夜中への挨拶」の修理指示書には『ページ外れ P146~P150』とあったが、連続するページを軽く引くだけで次々と外れる。
紙だけでなく製本もペーパーバック並だ。

これはもう、全てのページを単票にばらして無線綴じ(糸綴じをしない)をする以外に手はない。


ノド割れやページ外れの全面的無線綴じ修理をするときは、
5か所に切れ目を入れてタコ糸を渡すより
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14か所に施した方が強度は増す。
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さらに、背を荒らしてボンドを含浸させるともっと強くなる。
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手順としては、荒目のヤスリので背を荒らす。
さらにのこぎりで目引きをする。
糸を渡して接着する。
荒らした背全体にボンドを塗り込み、背固めする。

つづく。




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by ikuohasegawa | 2017-12-14 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(6)

4-309)並四小 本の修理 薄い本文と表紙の結合

普通、並製本の本を分解して背を修理した場合、背に寒冷紗を貼り見返しで表紙と結合する。※厚板紙の表紙が無い製本を並製本という。
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修理した「点字であそぼう」はノド割れしていたので平綴じをしたのだが、表紙との結合を背に塗ったボンドに任せても強度不足だと思った。
なんせ本文の背幅は6㎜しか無いのだ。


この日・・・前から何とかしたいと思っていたのです・・・ひらめいた。
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背のボンドの他、本文の一部を寒冷紗で抱え込む。

方法は、本文の背に貼った寒冷紗の羽(背幅から張りだした部分)に切れ目を入れて、表紙裏と本文に交互に貼る。
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こうすれば、幅6㎜だけで結合していた背は(半)寒冷紗の補強を得て強固に結合できる。
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本文貼り付け側の寒冷紗は、見返しのノド部を本文に貼り戻した時、隠れるくらいにカットしておきます。
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ということで「点字であそぼう」の修理完了。

自分で言うのも何ですが、これは中々の修理法です。


一折中綴じの絵本(別見返しの場合)などは中綴じをする前に、寸法を合わせてカットした寒冷紗をセンター合わせで折丁の背に接着(センターラインのみ)し、寒冷紗ごと綴じることもあります。
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こうすれば、薄い一折中綴じの絵本本文も表紙に結合できます。

これも中々の修理法です。







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by ikuohasegawa | 2017-11-30 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(2)

4-294) 綴じなおした本文が大きくなるのを予防する

美しい紅葉を見せていたアメリカフーもすっかり葉を落とした。
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日中は曇りでしたが夕方には雨が降る小寒い昨日でした。
一雨一度。
こうして秋は深まっていくのでしょう。


先週のことですが保土ヶ谷の本の修理ボランティア養成講座で受講生から出た質問。
「小学校の図鑑修理で綴じなおした本文を表紙に戻すと、小口から本文がはみ出る。何かアドバイスを」

糸で綴じなおした本文の背をボンドで固め、そこに当初のものより厚手の寒冷紗と製本時には無かったクータを貼り付けるのだから間違いなく厚着なる。元の表紙に結合すると表紙の小口から本文がとび出ることはままある。

せっかくまとめたので、ネタにします。

本文が大きくなることを前提に、アドバイス A。
一続きの表紙をオモテ表紙・背表紙(タイトル文字部分は外す)・ウラ表紙に切り分けて、大き目の製本クロス(裏打ちのしてある布)に貼り戻す。
そのとき、オモテ表紙と背表紙、背表紙とウラ表紙の間の幅を広くする。外しておいた背タイトルを貼る。
背を中心にブッカーを掛ける。

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図書の修理とらの巻 より


アドバイス Aはかなり手間がかかる修理になるので、その前に現行の修理の再点検をしてみましょう。


アドバイス B
① 本文の背の旧ボンド片や旧板紙などを綺麗に除く。
② 表紙の背の補強用板紙が外せるようなら薄いものに交換する(クータを入れるので強度は保てる)
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③ クータを二重にしない。
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クータは背幅の3倍のクラフト紙を三つ折りして作ることが定説になっている。
理由は定かではないが敢えてあげるなら強度を強めるためであろうか。
しかし、最も強度が必要な折り線ラインが一重なので強化目的ではないように思う。

したがって、クータは背幅 ✖ 2 + 糊代で作る。
この場合、糊代がクータの幅の中央になるように折る。さらに筒にしたあと糊代側を本文の背に貼るのが宜しかろう。
薄い本の場合は二つ折り(Vの横向き)で糊代無し。

④ ボンドの量を不必要に増やさない。
強度を求められる個所ではあるが、固化したとき層?片?塊?ができるほど大量に塗らない。
適量を探りつつ精進を重ねられたい。(適量を言葉で表現するのは難しい)

⑤ 本文と表紙を結合するとき強く圧着する。
表紙に本文を納めてから、小口を押さえ背をたたいて密着させる。
乾燥するまでは圧着する。力を掛けるのは背表紙と小口。
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小口に丸棒や紙筒(ラップの芯など)を当てて、ゴムバンドなどで押さえて乾わかす。

①~⑤で、ほんの少しずつ薄く仕上げると本文の肥満は少なくなります。

また、平綴じ・ノコギリタコ糸綴じの場合は、粗めのヤスリで背を荒らすが、その時、多目に削り取りサイズ調整することもできる。注:糸綴じの場合は背に横糸が走っているからヤスリを掛けない。


健闘を祈ります。










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by ikuohasegawa | 2017-11-15 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(2)

4-292) 図書修理 とらの巻 (本文の小口が出てしまう)

本文の背に大がかりな修理をすると背が肥大化して小口が表紙から出ることがある。

その対処技法をNPO法人書物研究会編 図書修理の技法書『図書の修理 とらの巻』にて学んだ。

一続きの表紙をオモテ表紙・背表紙・ウラ表紙に切り分けて、製本クロス(裏打ちのしてある布)に貼り戻す。
そのとき、オモテ表紙と背表紙の間の幅、背表紙とウラ表紙の間の幅を広げ、本文の肥大を吸収する。

そのページがこちら
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さすが、西洋古典籍の修復を手がける著者である。深謝。
なお、背タイトルにはブッカーをかけて保護するのが宜しかろう。

早速、試してみました。

2年生の学級文庫から修理の依頼が来ていた「自主トレ たし算ひき算」
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ノド割れしていた本文は平綴じをした。

外れていた表紙の他、背表紙もウラ表紙も外して切り分けた。
寒冷紗で裏打ちした黒い用紙(表紙の地色に合わせた)に背表紙を貼る。
表紙、ウラ表紙は現物合わせで本文小口がおさまる位置をさぐり、隙間をあけて貼った。
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すり減っていた表紙角を修理。

本文と接合。
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ブッカーをかけ終了。









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by ikuohasegawa | 2017-11-13 04:15 | 製本&修理:スキル | Comments(2)

4-282) 本の新しいかがり方

『美篶堂とはじめる 本の修理と仕立て直し』に掲載されている本文のかがり方は、私にとって新しいかがり方である。
三種類のかがり方を承知しているが、まだまだ学ぶことは多くありそうです。

工程ごとの写真は幾枚ものせてあるが、その時々の説明になるので、かがり方の流れは全体図で確認することになる。
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ただし、この図は三っ目の折丁をかがり終えた状態なので、私はここまでのかがり方が理解し難い。

一折目から順に描いてみた。
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二つ目の折り丁を重ね、前の折り丁の横糸を下から掬って次の穴に刺す。右端までかがったら端の糸と固結びします。
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三つ目の折り丁を重ね、二つ目のかがり目の下から掬って次の穴に進む。

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運針図なので糸をゆるめて描いてありますが、都度つどに糸を引くと下図のようになります。
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左端に書かれたケルトステッチの説明をします。
左端までかがったら下の縦糸をくぐり抜け、新たな縦糸をくぐって上に出します。
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間違えていました。
今日のところはここまで。

近日中に描きなおして報告します。










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by ikuohasegawa | 2017-11-03 04:03 | 製本&修理:スキル | Comments(4)